遼河はるひさん、一生付き合える服探し。
撮影・富永よしえ ヘア&メイク・noda norikata 文・板倉ミキコ
遼河はるひさん(以下、遼河) テレビでは、フェミニンなデザインを着ることが多いのですが。最近は、タイトスカートを格好よく着こなす、大人のスタイルをしたくなってきて……。
平澤雅佐恵さん(以下、平澤) 絶対そっちのほうがお似合いですよ! 遼河さんは可愛い系より格好いい系のかたですから。すみません。初対面なのに断定口調になって(笑)。
遼河 全然いいですよ(笑)。自分でも、ふんわりしたものは似合わないと思いますから。宝塚の男役は退団してから一旦、フリフリ系に走りがち。でも、可愛い系の服は、華奢な雰囲気のかたに合うように作ってあるから、私のような大柄な人には結局合わない。仕事では、出演している番組のカラーや、望まれるイメージなどもあるから、今までと服装をガラッと変えるのは難しいですが、プライベートだけでも、本当に自分に似合うものを見つけたいです。
平澤 今日の遼河さんの私服は、レザーとデニムを合わせたカジュアルスタイルですが、普段はどんな感じですか。
遼河 ニットやパンツが多いでしょうか。仕事の移動が楽なので、スウェットパンツをちょっとおしゃれにデザインした、緩めのワイドパンツが最近の定番で、色違いを何本か持っています。
平澤 あら〜それはよくない(笑)。〝楽〟を基準に選んでしまっていますね。遼河さんにお似合いになるのは、シュッとした、シャープなデザインですよ。
遼河 タイトなパンツやスカートは、体のラインがはっきり出てしまうので、太ももや腰骨が張っている私の体には、けっこうハードルが高いんです。
平澤 それは勘違い。サイズ選びをきちんとされていないから、似合わないと思うんじゃないでしょうか。身長が174センチある遼河さんは、日本人の体に合わせて作ったラインの洋服では、全体のバランスも悪くなってしまいます。イタリアブランドの42 あたりを選べば、確実に似合いますよ。パリッとした仕立てのいいシャツと、シャープなデザインのパンツを着ていただきたいです。目指すのは、イタリア女性のような着こなし。身長もあるし、品のあるかただから、シンプルなものを素敵に着こなせるはずです。
遼河 え、イタリアンマダムですか。私は腕が短いですし、肩幅もなく、腰骨が張った〝ザ・昭和体型〟なので、大丈夫なのかな、と思ってしまいますね。
平澤 ご自分に厳しすぎます!
遼河 宝塚在籍中はいろいろなかたたちから、体型に関することを厳しく言われてきたので、自覚しているんです(笑)。
平澤 仕立ての良さや素材、そして何より自分に合うサイズを吟味すればいいんです。妥協して選んだ服に体を押し込めたりせず、普通の日本人にはできない、大人の魅力を発揮してほしいです。色柄ももっと試してみては?
遼河 確かに、普段は黒を着ることが多いかもしれません。でも、今日着たオレンジのシルクシャツは、とても顔映りがよかったです。子どもの頃から母には、「あなたはオレンジが一番似合う」と言われ続けていたので、やはりそれは正しかったんだな、と。
平澤 お母様は遼河さんの魅力が、よくわかっていらっしゃるんでしょう。
遼河 ベージュのパンツも、ラインがとても素敵でしたね。
平澤 シャープなラインに、生地のハリ感など、毅然とした印象を与える服を選ぶといいと思います。
遼河 自分でもうすうすそう感じていて、昨年末、友人に「もうフェミニンなデザインの服は買わない!」と宣言して。フレアのスカートや可愛い系の洋服は人にあげたりして、全部処分しました。個性に自信が持てる服を着ていこうと。時間がないからとパパッと買ったりしていましたが、これからはちゃんと吟味したいです。
平澤 洋服選びには、その人の生きかたが反映されると思うんです。必ず自分が出てしまうものだから、適当にせず、ちゃんと選びたいですよね。
遼河 心から大切に思えて、自信を与えてくれる、本当に似合う服だけを選んでいくようにします。
格好いい女の普段着をテーマにしたスタイルに挑戦。
今回、遼河さんに平澤さんが提案したのは3つのスタイル。
「仕立てのいい鮮やかな色のシャツで着こなすパンツスタイル。ワンピース感覚で、格好いい女らしさを演出できる黒のオールインワン。そして、大胆な柄の組み合わせです」(平澤さん)
最初に着たオレンジのシャツとベージュのパンツは、平澤さんが遼河さんに何度も伝えた〝サイズ感〟がポイント。
「ボディラインにきちんと合う服を選ぶことで、美しい立ち姿がより印象的になりますよ」(平澤さん)
「シャツをパンツに入れるから、腰回りが強調されるのに、このデザインだと張っている腰骨が目立たず、全体的にスッキリ見えますね」(遼河さん)
続いては、トレンドを少し取り入れた、モダンな印象のオールインワン。
「胸の開きが深くシャープで、ポケットの位置やウエストの切り替えなど、さりげなく凝ったデザインですね。今の気分にぴったりです」(遼河さん)
「ハリのある素材を選ぶのも、大人な着こなしには重要なことです。中に合わせたブラウスもシャキッとしたハリ感があるので、カジュアルすぎず、エレガントに見えます」(平澤さん)
最後に試したのは、ストライプシャツと、艶やかな花や鳥の柄のパンツという、柄と柄の組み合わせ。
「自分ではここまで派手な柄の組み合わせはしたことがないので、すごく楽しく着ることができました」(遼河さん)
「パンツもシャツも素材にハリ感があって、ラインはストレートなので甘くなりすぎず、遼河さんにぴったりの着こなしになると思います。これくらいの柄合わせを、普段にも挑戦していただきたいです。存在感があるから着こなせるんです。着ている人の精神が大切ですからね」(平澤さん)
「服に着せられているようではダメですよね。〝自分が着る〟ことを心がけないと。今日試したスタイリングは着るとどれも背筋が伸びて、すごく心地いいものばかりでした。自分に合う服の条件が、わかった気がします」(遼河さん)
『クロワッサン』945号より
●遼河はるひさん タレント、女優/テレビや舞台など幅広く活動中。著書にレシピ本『遼河はるひのフリーザーバッグまる活ごはん』(KADOKAWA)がある。
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