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京都を訪れたらぜひ行きたい、名作揃いの博物館と美術館。

貴重な美術品を豊富に揃える京都の博物館や美術館。原田マハさんがおすすめする「京都国立博物館」「細見美術館」へ。

撮影・青木和義

ぜひ訪れたいと原田さんがすすめるのが、京都国立博物館と京都国立近代美術館、そして私設の細見美術館だ。

京都国立博物館には、館が収集した作品だけではなく、狩野永徳の『花鳥図』や俵屋宗達の『風神雷神図』など、寺院や神社から寄託された貴重な美術作品が多いのも特徴だ。

「細見美術館は、実業家で美術コレクターの細見家三代の蒐集品を中心に公開している美術館で、いま大人気の江戸期の画家・伊藤若冲の墨画や、琳派の名品、佳品が充実しています」

【京都国立博物館】歴史ある神社、寺院からの寄託品が充実。

京都国立博物館は、帝国京都博物館として1897年(明治30年)に開館した。開館の目的の中に、明治維新直後から始まった廃仏毀釈運動によって、危機に直面した仏像や仏教美術の保護の目的もあったという。

「現在の京都国立博物館の特徴のひとつは、神社や寺院からの寄託品が多い点にあります」 と、絵巻が専門の研究員・井並林太郎さん。

国宝だけでも、高山寺蔵『鳥獣人物戯画』、神護寺蔵『伝源頼朝像』、建仁寺蔵『風神雷神図屏風』、大徳寺聚光院蔵『方丈障壁画 花鳥図』など、枚挙にいとまがない。

「来館者が楽しめるよう、展示には工夫をしています。面白おかしい解説をつけることも可能なのですが、神社や寺院に伝わる作品は宝物であり信仰の対象でもあったわけですから、その側面は損なわないように気をつけつつ、キャプション(説明文)で、作品の魅力が伝わるように心がけています」

分野ごとの担当者が、展示作を選び、配置を考え、キャプションを練っている。

いつ、どの作品が展示されるかの情報は、京都国立博物館のホームページ(http://www.kyohaku.go.jp)で確認できる。

「来年は酉年。年末から、鳥にちなんだ名品を展示する予定です。雪舟の『四季花鳥図屏風』も目玉の一つとして予定しています。お楽しみに」

京都国立博物館 京都市東山区茶屋町527 ☎︎075・525・2473(テレホンサービス)開館時間:…

京都国立博物館 京都市東山区茶屋町527 ☎︎075・525・2473(テレホンサービス)開館時間:名品ギャラリー 火~木・日曜9時30分~17時、金・土曜9時30分~20時 ㊡月曜(月曜が祝日の場合は翌日) 観覧料:名品ギャラリー 一般520円、特別展は別料金

【細見美術館】本阿弥光悦、尾形光琳、俵屋宗達など、琳派のコレクションは見逃せない。

1998年、実業家で日本美術のコレクターだった細見古香庵から三代にわたる蒐集品を基礎に開設された細見美術館。伊藤若冲や琳派の名品を数多く所蔵する。

「プライベート美術館ならではの、こだわりが随所につまっています。例えば、展示室内の床材には温かい風合いのサクラ材を用い、展示ケースには作品との隔たりを感じにくい大きなガラス面を採用しています。作品の距離感がより自然な展示空間でお楽しみいただければ」と、広報室の三宅由紀さん。

奥行きのある京町家をイメージした設計。来館者は展示室から次の展示室へ、階段を昇降するうちに、奥へ奥へと進んでいくかのような感覚に。

「現在、『京の琳派』を開催中です。細見コレクションから、江戸初期の本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、近代の神坂雪佳の作品までを紹介しています」

俵屋宗達『伊勢物語図色紙「大淀」』
俵屋宗達『伊勢物語図色紙「大淀」』

江戸時代 紙本著色。向かい合う男女、二人を分かつ距離。「大淀の 浜に生ふてふ みるからに心はなぎぬ 語らはねども」ああ、切ない。

尾形光琳『柳図香包』
尾形光琳『柳図香包』

江戸時代 絹本金地著色。墨画の『竹虎図』で見た軽妙さはどこへやら、緊張感のある画面構成が、柳の枝のしなやかさを強調している。

俵屋宗達『月梅下絵和歌書扇面』
俵屋宗達『月梅下絵和歌書扇面』

江戸時代 紙本墨書 金銀泥下絵。書は本阿弥光悦による。動的な金と銀の切り替え。今で言えば琳派の祖、二大巨頭のコラボレーション。

細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6・3 ☎︎075・752・5555 開館時間:美術館・ショップ…

細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6・3 ☎︎075・752・5555 開館時間:美術館・ショップ10時~18時、茶室11時~17時、カフェ10時30分~22時30分㊡月曜(月曜が祝日の場合は翌日)、展示替期間、年末年始 入館料:展覧会によって異なる

『クロワッサン』935号より

●原田マハさん 作家/キュレーターとして活躍した後、作家に。美術をテーマにした作品も多く、『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞受賞。最新作は実話がベースの『デトロイト美術館の奇跡』。

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