「赤い口紅があればいい」野宮真貴さん|本を読んで、会いたくなって。
今の自分がベスト、と言いたいですよね。
撮影・青木和義
シンガーでカルチャーアイコンでもある野宮真貴さんが10年ぶりに書き下ろしたのは、美容ネタが満載のエッセイ。「不用意に蛍光灯に近づかない」「たるんだ目尻を上げるメイク法」……など、ここまで手の内を見せていいんですか?
「確かに、だいぶ見せ過ぎてしまいました(笑)。私も56歳、年齢を重ねてうれしくないことも多いんですけど、折り合いをつける方法をお教えできるのではないかと」
変わらない印象を保ち続けている野宮さんが、デビュー35年の間に培ってきた“自分の見せ方”を明かしたのが本書である。
「基本的にはなまけものなので、そのときどきによく見える工夫をしているだけです。見られる職業ですし、ファンの方など、初めて会う人と写真を撮るような機会も多いので、1回のシャッターチャンスで少しでもよく写る方法については熟知していますね。きれいに写ったら単純にうれしい。少しの工夫で叶うのだから、女性はぜひやってみたほうがいいですよ」
野宮さんがまず実践するべきと話すのは、鏡を各部屋に置くことと、声を録音してみること。
「現状を把握することから始めましょう。まず鏡を見ないと自分がわかりません。そして見た目より比較的簡単に変えられて、印象をよくするのが、声質や言葉遣いなども含めた話し方。きれいな言葉を使ったり、ゆっくりしゃべったり、大きな声を出さないよう気をつけるだけで美人度は上げられます。大学生の息子がいますので若者言葉も耳にしますけど、自分では絶対に口にしませんね。今ならスマートフォンの録音機能などもありますし、自分の話し方を客観的に聞いてみるといいですよ」
実際、野宮さんの語り口はとてもゆったりしていてエレガント。大人の余裕、ここにあり。そしてこの本は美容をテーマにしているが、野宮さんは決して美容オタクではない。スキンケアのテーマは“省エネ・時短”。化粧ポーチの中身も年々すっきりしていき、今はパウダーと、本の題名にもなっている赤い口紅があれば充分と言う。
「赤をつけているだけで、女性としての意識がきちんとある人に見えます。ブラウンがかった穏やかな赤やピンク系の赤など、自分に合う赤に出合ってほしいですね」
美人になるのは自由を手に入れること、というのが本書の一大テーマである。きれいになると自分自信が楽しいし、前向きな気持ちになる。そうするとあれもこれもやってみよう、とチャレンジしたくなって、世界が広がる。見た目は内面にも行動にも影響するのだ。
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