余分な塩味はいらない!
素材を生かした減塩レシピvol.1
料理研究家のウー・ウェンさん。実はレシピには材料の塩の量がかなり少ないのです。美味しい減塩レシピを教えていただきました。
「私の料理教室に通っているうちに、自然と血圧が下がった生徒もいっぱいむずかしいことは何もないの。無理せずに旬の素材の持ち味を引き出そうとすると、塩分はそれほどいらないのよ」
今回使うのは、どこの家庭にもある基本の調味料だけ。スープの素や香味野菜などなしでも、ぐっと深い味わい。
「大切なのは、タイミングや手順。落ち着いて味つけできるよう、下ごしらえや調味料の準備をすべてすませてから調理に入るのは基本です。料理は待ってくれませんから。ちょっとした間に火はどんどん通ってしまいますよ」
シンプルな料理こそ、素材の状態をきちんと見極める目配りが鍵に。
「こうした食事を1カ月も続ければ、余分な塩味を欲しなくなりますよ」
【油と酢】
塩分が入っていない調味料として、
どちらも中国料理のベースとなる存在。
油は天然の旨味調味料だと強調する、ウーさん。
「質のよい油を選ぶことで、加える調味料を減らせます。私は、生搾りで香りのない太白ごま油を使っています」 酢は、玄米黒酢。まろやかな酸味で風味がよくなり、塩分を半分にできます。
「約200度の高温を利用できるのが油の調理の力。素揚げも衣がないので油の量はそれほど必要ないんです」
秋野菜の素揚げ
高温の油で野菜の水分を蒸気として追い出し、旨味を凝縮。少ない調味料で満足感が。水分の出にくい食材→出やすい食材の順に揚げて。
材料(2人分) れんこん100g、玉ねぎ1個、にんじん1本、エリンギ1本、生しいたけ2個、たれ[醤油大さじ⅔、黒酢大さじ⅔、こしょう少々]、揚げ油適量
作り方
1.れんこん、にんじん、玉ねぎの皮を除き、れんこんと玉ねぎは1㎝幅の輪切り、にんじんは半分に切り縦4等分、エリンギは一口大、生しいたけは半分に切る。
2.たれを合わせる。
3. 1.を180~190度の油で素揚げして油をきる。まず、れんこんとにんじん。次に玉ねぎ、エリンギ、生しいたけの順。
4.ボウルに入れ熱いうちに2.をかけ、和えてから皿に盛る。
豚の生姜焼き
冷えた鍋から肉に火を通すと、じわじわ焼ける変化を見る余裕があり、調味のタイミングを逃さない。黒酢たっぷりのたれを煮詰めることでじゅうぶん濃い味に。
材料(2人分)
豚ロース肉(生姜焼き用)4枚、たれ[黒酢大さじ1、はちみつ大さじ½、醤油大さじ½、すりおろし生姜大さじ1、ごま油大さじ½]
作り方
1.炒め鍋に豚肉を重ならないように並べる。
2.たれを合わせておく。
3. 1を中火にかけて、
そのまま肉を動かさずじっくり焼き、表面の色が変わりはじめたら、ひっくり返す。
4.両面焼けたら2.を回しかけ、からめる。最後に、やや火を強くして煮詰める。
卵ときのこの炒め物
卵ときのこを、順に別々の調味で炒めることで、合わせた時に味のメリハリが。塩は最後にパラパラと。入れなくてもよいくらい
材料(2人分)
卵3個、しめじ100g、まいたけ100g、黒酢大さじ½、油(太白ごま油)大さじ1、粗塩小さじ⅛、こしょう少々
作り方
1.炒め鍋に太白ごま油大さじ⅔を入れ、弱火から中火に。よく溶いた卵を流し入れ、油を抱き込むようにゆっくり固め、いったん取り出す。
2.同じ鍋に、残りの太白ごま油を入れ、石づきを除いたしめじ、一口大に割いたまいたけを加え、油がなじむよう炒める。きのこの表面から水分が出てきたら黒酢を加え、さらに炒める。
3. 1を戻し炒め合わせ、粗塩、こしょうで味をととのえる。
余分な塩味はいらない! 素材を生かした減塩レシピvol.2はこちら。
https://croissant-online.jp/topics/38337/
◎ウー・ウェンさん 料理研究家/シンプルで旨い家庭料理に定評が。東京と北京でクッキングサロンを主宰。『「時短」で作ると、料理は美味しい!』(小社刊)など著書多数
『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より
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