今年行きたい、山の宿──絶景と澄んだ空気でリトリート
撮影・藤田二朗(photopicnic) 文・野村美丘
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
八丁の湯(栃木・奥鬼怒)
奥鬼怒の豊かな緑に囲まれて、秘湯の露天風呂を楽しみ尽くす
鬼怒川の源流部に近い栃木・奥鬼怒温泉郷には、温泉が自噴する野湯がたくさんあるという。1929年の「八丁の湯(はっちょうのゆ)」創業以前からこの地には温泉が湧いており、地元の人から八丁の湯と呼ばれ親しまれていた。地域の特産品である木杓子や曲げわっぱをつくる作業小屋から八丁(約870m)ほどの距離にあり、作業を終えた村人たちが湯につかって疲れを癒やす、憩いの場だったのだとか。
奥鬼怒は日光国立公園内にあり、一般車両の乗り入れはできない。「八丁の湯」へは、市バスの終点でもある女夫渕(めおとぶち)駐車場から、徒歩なら90分、送迎バスでも30分ほど山を登る必要がある。しかし、簡単にはたどり着けないこの道のりに、秘湯に向かうという高揚感が否が応でも高まるというもの。
「八丁の湯」は、創業当時の山小屋時代の面影を残す純和室の本館「山小屋八丁」と、山岳リゾートの非日常を演出するカナディアンログハウス「ヴィラロッジ八丁」、趣の異なるふたつのタイプの客室からなる。これがレストハウスやラウンジなどとも相まって、質素な山小屋とも豪奢なホテルとも違う、両方のいいとこ取りをした居心地のよさをつくっている。本棚とソファが置かれた文庫コーナーやモーニングコーヒー、夜のホットチョコレートのサービスもありがたい。
「学生時代、闇夜の山中を経てこの宿に初めて到着したときに感じた気持ちを忘れないよう、おもてなししています」と女将が言うとおり、安心してくつろげる配慮が館全体に行き届いているのだ。
関東最後の秘湯と名高い温泉は、100%自然湧出の掛け流し。4つある露天風呂のすぐわきから自噴している源泉を引湯している。現在の法律では新規や改修が認められない昔ながらの混浴風呂(女性専用の露天風呂は2つある)で、山肌や滝を間近に見ながらの湯浴みは格別だ。
もうひとつの自慢は食事。ジビエや自家菜園で育てた無農薬野菜などが惜しみなく豪快に提供される山の幸の料理には、「山奥なのにこんな料理が食べられるとは」と喜ばれている。チェックアウトしてからトレッキングに向かうなら、前日までにおにぎり弁当の予約をしておくといいだろう。大自然のなかにありながらゆったりと快適に過ごせる、貴重な宿だ。
栃木県日光市川俣876 TEL:0288-96-0306 JR・東武「鬼怒川温泉」駅より日光市営バスで「女夫渕」下車、送迎サービスあり。2名利用1泊1室3万8000円~。
坐忘林(北海道・ニセコ)
深い林の静寂のなかで、しばし日常を忘れる
2024年にアジア初の「ミシュランキー」で、「2ミシュランキー」を道内で唯一獲得。羊蹄山やムイネ山を擁する北海道の大自然をそのまま引き込んだようなしつらえは、禅の思想とモダンなデザインのハイブリッド。各部屋には敷地内に湧く自家温泉100%の源泉掛け流しの内風呂と露天風呂がある。白樺の原生林の香りに包まれて温泉につかれば、日常の雑念が取り除かれ、本来の感性が呼び覚まされること間違いなしだ。
八ヶ岳グレイスホテル(長野・八ヶ岳)
日本三選星名所で、星ソムリエと星空鑑賞会
星の名所と誉れ高い、八ヶ岳(やつがたけ)の野辺山高原。空気がきれいなだけでなく、標高が高く周囲を山に囲まれているため市街地の光が入らず、年間を通して満天の星空が楽しめるスポットだ。国立天文台のすぐ近くに立つこちらの宿では、星のソムリエ®の資格をもつホテルスタッフがナビゲーターとなり、宿泊者に毎晩無料で星空鑑賞会を開催している。直営農園で収穫した新鮮野菜をメインに据えた食事も好評だ。
箱根懐來(神奈川・箱根仙石原)
箱根仙石原の奥屋敷で究極のリトリートを
箱根仙石原のすすきの草原至近、1,800㎡という広大な敷地に佇む1日1組限定の大人の隠れ家。外界から隔離され、バーカウンターのあるリビングルームを起点に、露天風呂の温泉、総檜のフィンランド式サウナ、金時山を望むオープンテラスを回遊すれば、自然と一体になれる贅沢なプライベートリトリートが完了する。そのときには、温泉のアルカリ性&メタケイ酸の湯で美肌までもが手に入っているという、うれしいおまけも。
「今年行きたい、海の宿──絶景と澄んだ空気でリトリート」はこちらをご覧ください。
『クロワッサン』1163号より
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