『生きるためのブックガイド 未来をつくる64冊』岩波ジュニア新書編集部 編──さまざまな角度から世界を照らす64冊
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
ジュニア新書という若い人向けのレーベルから出たブックガイドだが、ミシェル・フーコーの著作など大人が読んでも難しそうな書籍も紹介されている。子ども騙しではない、ガチな一冊である。
「自分・人間を知る」「世界を知る」「生きるために」「未来を選ぶ」「想像・創造する」といった項目に分かれ、二十二人の著名人が六十四冊の本を紹介。自身の体験や実感を交えながら簡潔に読みどころを解説していて、みなさんの本の紹介の上手さにも敬服。
ああ、読みたい本だらけだ。たとえばデヴィッド・グレーバーの『負債論︱貨幣と暴力の5000年』。借りたものを返すというと当たり前の社会ルールと思ってしまうが、現実には強者が弱者に法外な債務を押し付けて食い物にしてきた歴史がある。分厚い本らしいが、紹介者である政治学者・重田園江さんの〈おもしろそうなところだけ読めばいいのだ〉との一文に背中を押される。あるいは翻訳家・青木薫さんが紹介する佐藤文隆『量子力学の100年』。量子力学の誕生から100年間の歴史を第一人者が見晴らす一冊。物理は苦手だが分かりやすい物理本は大好物なのでこれも買い。他には……あ、文字数が足りない!!
『クロワッサン』1149号より
広告