『おこさま人生相談室 おとなのお悩み、おこさまたちに聞いてみました』小林エリカ 著──悩める大人たちに助言する子どもたち
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
大人たちのお悩みに、実に102人のおこさまたちが回答。人気連載の書籍化だ。
タイトルを見た時、きっと無邪気でストレートな回答が微笑ましい内容なんだろうと思った。が、帯を見た瞬間にガツンときた。引用されているのは、7歳のRicoさんの「なに? もっとこどもみたいにいうと思った?」という言葉だ。侮ってすみません。
お悩みに対し、著者と子どもが対話していくつくり。話の脱線や飛躍はあるものの、大半の子どもたちはみな、相談者に寄り添って回答している。これは、著者である小林エリカさんの子どもとの向き合い方、引き出し方の力も大きいのだろう。「いつも他の人と自分を比べてしまい、劣等感を感じる」という悩みに関する対話の中で、11歳のひめさんが「ちょっとずつがんばってやれば、最後はおっきな強さになるから」と答えたり、「上司にお酒を誘われると断れない」という悩みについて話す中で、11歳の豪さんが「軽い嘘とかでも、役に立つこととか、ありますんで」と言ったり。
子どもの頃、大人に軽くあしらわれてムカついたことを思い出した。子どもだって、ちゃんと分かってるし、考えているのだ。
『クロワッサン』1148号より
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