暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

『グッド・シスター』サリー・ヘプワース 著 梅津かおり 訳──双子の姉妹が抱える秘密とは

文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。

文・瀧井朝世

『グッド・シスター』 サリー・ヘプワース 著 梅津かおり 訳 小学館文庫 1,254円
『グッド・シスター』 サリー・ヘプワース 著 梅津かおり 訳 小学館文庫 1,254円

オーストラリア発の心理スリラー。途中まで「特にスリラーって感じでもないなあ」と思っていたら、後半の展開にびっくり。

ファーンとローズは双子の姉妹。父親はおらず、母親は彼女たちが十二歳の時にオーバードーズで入院し、以来姉妹は里親のもとを転々としてきた。二十八歳の今、ファーンは図書館で働き、結婚したローズとは週三回食事をともにしている。

ファーンは感覚処理に不自由があり、人混みや騒音や特定の匂いが苦手だ。規則正しい生活を好み、いわゆる「空気を読む」ことに長けてはいない。彼女にとってローズは何より大切な存在だが、図書館に来た青年、ロッコと親しくなり、その日常が変化していく。

姉妹は少女時代に恐ろしい体験をしている。時折挿入されるローズの日記には、姉妹の過去が綴られており、それによると母親はいわゆる毒親だった模様。母に恋人がいた時期もあり、その時に起きた悲しい出来事の真相を、二人は秘密にしているようで……。

予想外の真相が明るみになって驚き、それ以降も「この先どうなるの!」とハラハラしながら読み進めた。いやはや、まさしく心理スリラーであった。

  • 瀧井朝世 さん (たきい・あさよ)

    ライター

    著書に『ほんのよもやま話〜作家対談集〜』『偏愛読書トライアングル』など。

『クロワッサン』1147号より

広告

  1. HOME
  2. くらし
  3. 『グッド・シスター』サリー・ヘプワース 著 梅津かおり 訳──双子の姉妹が抱える秘密とは

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載