京都から電車に揺られて伏見・宇治へ。お茶の魅力を再発見!
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・網中いづる 文・中岡愛子
[墨染(すみぞめ)]椿堂茶舗
東福寺、伏見稲荷大社の御用達。オリジナルの和紅茶も人気。
旧街道沿いで一際佇まいのいい、明治12年創業の日本茶専門店。店内はお茶の香りが心地よく、看板商品のくきほうじ茶「伏見」のほか、やわらかな甘みのオリジナル「京都紅茶」と玉露入り煎茶「稲荷山」については、「藤井聡太王将が今年1月の王将戦で召し上がった」と店員の武村将史さんが説明してくれた。併設の茶房「竹聲(ちくせい)」では、上生菓子と6種から選べるお茶のセットが人気で、抹茶を贅沢に使った「茶の実」はお土産にも。
◆京都市伏見区深草北新町635
TEL.075・644・1231
営業時間:10時〜18時 日曜・祝日休
※茶房「竹聲」は12時〜17時(LO16時30分)、水・日曜・祝日休
京阪「墨染」駅から徒歩2分、JR「藤森」駅から徒歩10分。
[伏見桃山]総本家 駿河屋善右衛門 伏見本舗
お茶席に欠かせない「羊羹」と磨き抜かれた看板が目印。
1461年創業。桃山時代に豊臣秀吉の大茶会の引き出物に使われたという「紅羊羹」を再現した「秀吉献上羊羹」のほか、江戸時代に5代目の岡本善右衛門が考案した「煉羊羹(ねりようかん)」は、この店が「現代の羊羹の発祥」といわれる背景を持つ。「〝蒸す〞から〝炊き上げる〞製法へ。
5代目が天草を、6代目が寒天を用いて完成させたと聞いています」と社長の岡本良太さん。徳川家に菓子を気に入られ紀州(和歌山)へ移った後も、創業地であるこの店は、地元の人に愛され続けている。
◆京都市伏見区京町3・190
TEL.075・611・5141
営業時間:9時〜18時 水曜休
京阪「伏見桃山」駅、近鉄「桃山御陵前」駅から徒歩2分、JR「桃山」駅から徒歩8分。
[黄檗(おうばく)]黄檗宗大本山 萬福寺
煎茶を広めた開祖・隠元禅師と「普茶料理」。
中国の高僧・隠元(いんげん)禅師によって、1661年に開山。中国様式の境内も新鮮ならば、禅師が伝えたという中国式精進料理「普茶料理」は目に鮮やか、食べて楽しい。「普茶」とは、「普(あまね)く大衆と茶を供にする」の意。順に供される料理は大皿盛りで、かまぼこに見立てた長芋など、〝もどき料理〞に会話も弾む。「最初にお出しする麻腐(胡麻豆腐)はお客さまの到着に合わせて練ります」という典座(てんぞ)の秦崇志さんの心意気もいい。食後に僧侶の説明つきで拝観が楽しめる特別普茶御膳「あおい」(1万1000円)も人気。
◆京都府宇治市五ケ庄三番割34
TEL.0774・32・3900
開門9時〜17時(最終受付16時30分)
※普茶料理(11時30分〜14時)は3日前までに予約を(普茶弁当以外、2名〜)
拝観料500円
JR、京阪「黄檗」駅から徒歩5分。
[宇治]朝日焼 shop & gallery
「お茶っていいよね」と思ってもらえる場所を。
宇治川のほとりで400年以上続く窯元。「朝日山の土、宇治川の水、登り窯に使用する薪(火)に加え、宇治にはお茶の文化がありましたから」と、十六世窯元・松林豊斎さんみずから淹れてくれた煎茶は、舌の上を転がるようなやわらかな甘さで、手触りのいい青磁の煎茶碗にやさしく映える。2017年にオープンしたショップ&ギャラリーには、日常使いの碗やティーポットから、十四世、十五世の作品までがゆるやかにつながって並べられ、春になると窓の向こうは桜並木。
◆京都府宇治市宇治又振67
TEL.0774・23・2511
営業時間:10時〜17時 月曜休(祝日の場合は火曜)、最終火曜休
京阪「宇治」駅から徒歩7分、JR「宇治」駅から徒歩17分。
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