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見方がわかるとありがたみ倍増。何度でも会いたい京の美仏たち

お寺で何となく拝観している仏像は、ちょっとの知識があれば世界が変わります。京で必ず拝みたい仏像と共にその極意を教えましょう。

イラストレーション・田中ひろみ 構成&文・堀越和幸 写真・アフロ

禅定寺|十一面観音 立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)

平安時代の木造の仏像。像高は何と286.3cm!

見方がわかるとありがたみ倍増。何度でも会いたい京の美仏たち
見方がわかるとありがたみ倍増。何度でも会いたい京の美仏たち

◆京都府綴喜郡宇治田原町大字禅定寺小字庄地100 
近鉄京都線「新田辺」駅から京都京阪バスで「維中前」下車、徒歩30分。

仏像が手にしている物にはどんな意味があるかを知る。

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細部の見方で最初に紹介するのは持物(じもつ)。文字どおり、仏像が何を手にしているか。「その意味や背景を知ると、仏像の御心がグッと近くなります。例えば薬師如来の持つ薬壺には使っても減らない万病を治す薬が入っていて、観音菩薩が持つ蓮華は泥の中から美しい花を咲かせることから煩悩にまみれない心を表します」。ちなみに右の十一面観音が持つ水瓶(すいびょう)には人々の願いを叶える功徳水(くどくすい)が入っている。

仏像の種類によって違う、放たれるオーラの形。

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光背(こうはい)とは仏像の背後にある光を表現した装飾で、仏の体から発せられるいわゆる“後光”を象ったものだ。「どんな願いも叶えてくれる宝珠の形をした宝珠光や、燃え盛る炎を形にした不動明王などの火焔光背が挙げられます」。ほかにも、蓮の花びらを象った、舟の形のような舟形光背や、48本の光が放射状に広がった放射光背もよく見られるので、仏像の背後もしっかり確認してみよう。

マニアは台座を見るだけで、そこに立つ仏像がわかる。

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仏像を安置する台を台座(だいざ)と呼ぶ。全ての仏像が台座に乗っているわけではないが、乗る時には仏像の種類によって決まっているという。「例えば蓮の花の蓮華座は如来や菩薩などに多く見られ、岩がモチーフの岩座は明王や天に多い。ちなみに四天王の多くは、岩座の上で邪鬼を踏んでいるといわれています」。ほかに、浜辺と入江を表す洲浜(すはま)座、鳥や動物を象った禽獣(きんじゅう)座などもよく見る台座だ。

釈迦、阿弥陀、薬師……、手の形で如来を見分ける。

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「如来は同じような姿をしていますが違いを見分けるものの一つに印(いん)があります」。印とはサンスクリット語で“身振り”を意味し、あの独特の手つきを指す。「阿弥陀定印は瞑想を表す印で阿弥陀如来に多く、与願印は願いを叶えてくれる印、施無畏印は恐れを取り除いてくれる印でセットになることが多く、釈迦如来に多く見られます」。ちなみに薬師如来は、与願印の上に薬壺を乗せている。

  • 田中ひろみ

    田中ひろみ さん (たなか・ひろみ)

    仏像イラストレーター、文筆家

    仏像本を多数出版し活躍中。講演や仏像ツアーも行う。主な著書に『心やすらぐ仏像なぞり描き』『私を助けてくれた50の禅語 こころが調うゆる禅語』が。

『クロワッサン』1137号より

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