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永井紗耶子さんと風情豊かな「お江戸東京文学散歩」

江戸の市井の暮らしを描いた物語を数多く紡いできた永井紗耶子さん。愛する江戸を描いた作品にまつわる場所を、今の東京で巡ってみた。

撮影・黒川ひろみ 構成&文・中條裕子

『木挽町のあだ討ち』と東銀座

東銀座の駅の階段を上がってすぐの歌舞伎座を、晴海通りを挟んだ反対側にある路地から眺めた光景。いつもは華やかな歌舞伎座がひっそりと佇む雰囲気が海外からの観光客にも人気のようで、ここからスマホで撮る人の姿も見られる。知る人ぞ知る撮影スポット。
東銀座の駅の階段を上がってすぐの歌舞伎座を、晴海通りを挟んだ反対側にある路地から眺めた光景。いつもは華やかな歌舞伎座がひっそりと佇む雰囲気が海外からの観光客にも人気のようで、ここからスマホで撮る人の姿も見られる。知る人ぞ知る撮影スポット。

あだ討ちがなされた裏路地の現場、実はここ!?

歌舞伎の演目としても上演されることとなった、この作品。もともとは現在の歌舞伎座から5分ほど歩いた、当時の木挽町にあった芝居小屋、森田座が舞台となっている。

「小説の最大の見せ場となる“あだ討ち”の場面の想定は、今の歌舞伎座裏の路地の雰囲気をイメージしていました。場所としてはジャストではないものの、歌舞伎の公演が終わって、お客さんがわーっと出てくる様子が当時の雰囲気に近いのかな、と思って」

そうして東銀座の周辺を歩いてみると、歌舞伎座のほど近くにも川が流れていたのだとわかった。今は地名となっている三原橋は、三十軒堀川に架かっていた橋の名残なのである。

「東京には、江戸のままの通りの名前や、史跡の案内板や石碑もあちこちにある。そういうのを見つけると、一瞬でタイムスリップできますよね」

今でも周辺には森田座跡や狩野画塾跡などの江戸の史跡を記した案内板も。

右・歌舞伎座のすぐ裏の路地にて。左・昭和通り沿いの銀座6丁目には森田座跡の案内板が。
右・歌舞伎座のすぐ裏の路地にて。左・昭和通り沿いの銀座6丁目には森田座跡の案内板が。
『木挽町のあだ討ち』(永井紗耶子、新潮社、1,870円)
『木挽町のあだ討ち』(永井紗耶子、新潮社、1,870円)

雪の降る夜、芝居小屋の立つ木挽町の裏通りで、美しい若衆によって遂げられたあだ討ち。芝居町の語り草となった大事件だったが、その真相とはーー。東京・歌舞伎座『四月大歌舞伎』にて上演予定。

  • 永井紗耶子

    永井紗耶子 さん (ながい・さやこ)

    作家

    2010年『絡繰り心中』でデビュー。’23年『木挽町のあだ討ち』で直木賞受賞。近著『秘仏の扉』ほか、『女人入眼』『横濱王』『きらん風月』など著書多数。

『クロワッサン』1136号より

03 / 03

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