みんなの介護の「困った」を解決!要介護者への口腔ケアについて、もっと知りたい
撮影・中島慶子 イラストレーション・山田美津子 文・殿井悠子
Q. 要介護者への口腔ケアについて、もっと知りたい
A. 基本は自分で。便利グッズを活用して、朝と食事後に行う
口腔ケアとは、うがい、歯磨き、舌や粘膜のケアのこと。高齢になると口腔内の自浄作用が低下する。要介護者でもできるだけ自分でケアするのが望ましいが、やり残しがあると口の中に細菌が多く棲息することに。
“最期まで口から食べられる街、新宿”をモットーに設立された「新宿食支援研究会」の立ち上げメンバーでもある森岡さんは、口腔ケアの重要性を語る。
「口腔ケアをするメリットはたくさんあって、一つは歯周病や虫歯が予防できること。口腔内細菌は、誤嚥性肺炎や敗血症、心疾患や感染症など全身の病気にも影響があるといわれています。また、口腔機能が維持されれば食事の場にも参加でき、会話や笑顔が生まれるなどQOLの向上につながります」
「歯石や舌苔があると味を感じなくなってしまうので、それらをしっかり取り除いたり、刺激を与えて唾液の分泌を促進したりして味覚を維持し、食欲が落ちないようにすることが大切です」
自身でできないところは介助しながら、口内に細菌が溜まっている起床時に、モーニングケアの一環として行うのがベスト。それ以外は食事の後に。寝たきりの人は誤嚥しないよう、必ず体を起こして顎が上がらない姿勢で行うのが基本だ。
介護する側の注意点としては、要介護者の唾液からの感染を防ぐために、手袋とマスクを装着すること。介助用の歯ブラシはなるべく小さめのものを使い、一本一本磨き上げるように。歯がない人はブラシを使うと歯茎を傷つけてしまうため、スポンジブラシを使う。スポンジには水分補給の役割も。
口腔ケアの便利グッズはたくさんあるので、歯科医師に相談しよう。
ブラシの柄が光り、口内の隅々まで口腔清拭と粘膜ケアができるスポンジブラシ。
うがいができない人や誤嚥しやすい人、ブラシやスポンジが使いにくい人に。
『クロワッサン』1134号より
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