元気なうちに少しずつ、親と始める終活ガイド「葬儀と墓編」
イラストレーション・井上沙紀 文・中嶋茉莉花
親らしく見送ってあげるための素材集めを
遺族の困りごとの筆頭が、親がどんな葬儀を望んでいたのかを知らないこと。
「葬儀も墓も形式が多様化し、夫婦別々のスタイルを選ぶことすら可能な時代。どこの墓に入るのか、そもそも今ある墓の継承についてどう考えているのかも聞きたいところ」(終活プランナーの奥山晶子さん、以下同)
「両親が他界した後、葬儀までの時間は限られています。次の3つを優先的に親子で納得のいく理想の供養を探りましょう」
1. 葬儀の宗派を聞く
「葬儀会社は希望の宗派の作法に則り、供養を執り行います。そのため、代々の宗派がわからないと、短い準備期間に右往左往することになります」
「また無宗教で葬儀を行った場合、菩提寺の墓には入れないことも。代わりの墓を決めておかないと、葬儀後に子だけで宗派にこだわらない墓を探すことになります」
親亡き後、途方に暮れることのないよう、最終的には踏み込んで希望の葬儀まで聞いておきたい。
聞き方:最近行ったお葬式が無宗教葬で。初めての経験だったよ。
2. 遺影や副葬品を考え始める
葬儀直前に遺影用の写真を吟味する時間はない。ふだんからあたりをつけておくのがおすすめ。
「高齢者は頻繁に写真を撮影しないことも。でも旅行時は別。友人や老人クラブの仲間と出かけた後などに、写真を見せてもらうといいですよ。親戚の集まりでそれとなくこちらが撮影しても」
「棺に入れたいものを直接尋ねにくいなら、好物や大切にしている品、服などを折に触れ確認し、書き留めておきます」
聞き方:この前の旅行の写真送って。
3. 墓の希望を知る
「義理の両親や夫とは同じ墓に入りたくない」「お母さんだけでもペットと一緒に」など、夫婦でも意向が異なるケースが増えている。できる限り、本人の希望に沿う見送り方をしたい。
「子世代の負担を思い、墓の処分や引っ越し、改葬を検討している親もいます。それはそれで親族や菩提寺への相談、役所手続きなどが必要で、費用もかかる。宗派同様早めに切り出し、自然な話し合いの中で真意を確かめましょう」
聞き方:(お盆などに)お墓掃除、大変じゃなかった?
『クロワッサン』1134号より
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