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考察『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』4話 松の井(久保田紗友)「女郎は打ち出の小槌ではありんせん」唐丸(渡邉斗翔)「地獄のようだね。女郎屋の仕組みって」…まったくだ

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 (NHK/日曜夜8:00〜)の主人公は、のちに江戸のメディア王と呼ばれた蔦屋重三郎(横浜流星)。4話「『雛形若菜』の甘い罠」では、女郎たちの錦絵の製作を思いつき、実現のために奔走するのですが……。ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を振り返り、考察する連載第4回です。

文・ぬえ イラスト・南天 編集・アライユキコ

愛猫自慢会?

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』4話イメージイラスト/忘八連合はみんな猫が好き? 大黒屋のりつの抱く愛猫の名は半助。蔦重はまたも吉原を活気付かせる妙案を思いつくが……/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』4話イメージイラスト/忘八連合はみんな猫が好き? 大黒屋のりつの抱く愛猫の名は半助。蔦重はまたも吉原を活気付かせる妙案を思いつくが……/南天

安永3年(1774年)春。御三卿のひとつ、田安家の当主・治察(はるあき/入江甚儀)が22歳という若さで死去した。弟の賢丸(まさまる/寺田心)が老中筆頭・松平武元(たけちか/石坂浩二)に頼んだのは、白河松平家の養子を返上して田安家に戻りたいと幕府に願い出ること。武元は大奥総取締・高岳(冨永愛)に対して将軍・家治(眞島秀和)に口添えしてもらえるよう根回しする。田安家の意向を知った、一橋家当主・治済(生田斗真)は「それは意次(渡辺謙)にはさぞ災難であろうの」とほくそ笑む。どうもこの男、糸を張り巡らせて機会を待っているようだ。その機会とは一体どんなものなのか。

所変わって吉原では忘八連合の会合である。猫を抱いてみんなに見せて、猫の名前を書いた紙を掲げて……何をしてるのかと思ったが、もしかして愛猫自慢会? 昨年の大河ドラマ『光る君へ』では、猫は一部の貴族しか飼えない珍しい動物だったことが描かれたが、江戸時代が舞台の本作では、こんなにたくさん。
平安時代に貴族が愛でた猫は、その後も長きにわたり紐でつないで飼うのが当たり前の愛玩動物だった。江戸初期に京都洛中のネズミ対策として猫を放し飼いにするようにというおふれが奉行所から出て以降、繁殖が促されて少しずつ猫は庶民の生活に浸透していった。3話(記事はこちら)の駿河屋市右衛門(高橋克実)がお茶を立てる茶会といい、忘八連合の場面では、権力者層のものだった楽しみを豊かな町人たちが手にしている様子が描かれる。

忘八たちは『一目千本』で取り戻した客足をさらに増やすため、今度は女郎の錦絵を出版することにした。その仕事を、蔦重(横浜流星)に任せたいという。カラー印刷である錦絵は、黒一色の墨摺りとは比べ物にならないくらい金がかかる。その費用はどうするのかという蔦重の問いに「ん二ャもんは任しとけ!」「大船に乗ったつもりでい二ャ」。ほんとかなあ。このひとたち、女郎から搾り取って身代を築いてる業者だからなあと思ったが、やはり。忘八らが出資するのではなく『一目千本』と同じく、女郎に入銀させるという企画になったのだった。
「わっちらにどれだけ入銀させりゃ気が済むのさ!」と女郎たちに詰め寄られる蔦重。

松の井(久保田紗友)「女郎は打ち出の小槌ではありんせん」

ごもっとも。『一目千本』は大当たりして客を呼び寄せたが、掲載される女郎にとっては負担になっていたようだ。しかも今回は自分たちの意思ではなく楼主からの命令。皆が企画責任者の蔦重に怒るのは当たり前である。それにしてもこの場面、総籬(そうまがき)の傍に佇ずむ花の井(小芝風花)と松の井の姿が、まさに錦絵のように美しい。

唐丸(渡邉斗翔)の「花魁たちって五両くらい出せないの?」という問いについて、これはドラマレビュー1回でも女郎の借金システムについて述べた(記事はこちら)。

蔦重「着物、小間物、布団に家具調度。旦那(馴染み客)に頼むんだよ。頼めなかったら、見世に借金して自前になる」
次郎兵衛(中村蒼)「稼いでも稼いでも、金が出ていくのが花魁さ」

古典落語『品川心中』は、舞台が品川の岡場所ではあるけれど、紋日(衣替えと共に周囲に祝儀を配る行事)で金が工面できない、いっそ死んでしまいたい……でも金が理由で死ぬのは格好つかないからと、馴染み客の誰かに一緒に心中してもらおうとする女郎が登場する。落語だからコメディとして描かれるが、現実では悲劇だ。

唐丸「地獄のようだね。女郎屋の仕組みって」

まったくだ。

意次、意知は策謀へ

将軍・家治から田沼意次に、白河松平家の養子となることが決まっている賢丸を田安家に戻すようにという指示が出された。

家治「大奥からも願い出があってな」

武元殿ったら、あんなに気高い高岳様に賄賂なんて効くわけないじゃないですか! と思ったが、翡翠の香炉にはしっかり効果があったわ。
これで賢丸は兄亡きあとの田安家を継ぐことができる。

しかし、将軍の命を受けた意次は内心渋っていた。幕府が田安家に与えている知行(給料)は10万石だ。

意次「(将軍の)御血筋が絶えるかもしれぬという、まさかの折に備えるためだけに三つの家を養うなど無駄の極みだ」「既に御三家があるのだ。なにゆえ御三卿が要る? 」

幕府の経費削減を狙い、意次は嫡男・意知(宮沢氷魚)とともに策謀に乗り出した。
このドラマは、冨永愛や渡辺謙のように他のドラマならばカッコよく正義の味方を演じるような俳優も、欲望、権勢欲の持ち主として描かれているところが面白い。

平賀源内は何を?

蔦重が貸本の仕入れに訪れた日本橋の地本問屋・鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)は『一目千本』をべたぼめしてくれた。

孫兵衛「しかしまあ、俺にも一言ほしかったな」

こういうのはドキッとする。にこやかに言っているものの、直訳すれば「俺たちの業界で勝手なことしやがって、事前にきっちり筋を通しやがれ」ではないのか。
遠慮しねえで言ってくれなどと述べつつ、蔦重から女郎の錦絵を作るという計画の相談を受けても、的確なアドバイスをしなかった。商売を始めようとする若者を見る鱗形屋の眼は複雑に光る。

悩む蔦重は、偶然平賀源内(安田顕)と出会う。

蔦重「どうしたんすか? 今日は見るからに『平賀源内』のいでたちじゃねえっすか」

おしゃれな着流し姿で腰に大小(刀)をたばさんでいる──武士だから。そう。一体なんなのこの人? 天才らしいけど……と、よくわからない存在である平賀源内は、もとは讃岐国(現在の香川県)高松藩藩士の家に生まれた武士だ。
「俺が書いた新刊読んだかい」と源内が差し出した『放屁論(へっぴりろん)』は、蔦重の言うとおり当時江戸で大評判となった戯作である。両国の見世物小屋で「放屁漢(へっぴりおとこ)・昔語り花咲男」という芸人が、屁の音で楽曲や鶏の鳴き真似を奏でたという。ひどい芸だ。
平賀源内はその芸、放屁について論評する形を取り、社会批判としたわけだ。
蔦重との初対面で「クソは畑に撒きゃあ役にも立つが、あいつらはそれ以下の屁よ。なんの役にも立ちゃしねえ」と動きの鈍い役人を腐す場面があったが、これは『放屁論』における源内の主張そのままだ。

そこに、路孝髷と路孝茶色の着物姿の女性が通りかかった。

源内「あいつのやることはなんだって流行ってよ。路孝茶色の着物もよ、あれで呉服屋は大儲けしたんだ」

路孝髷も路孝茶色も源内の亡き恋人・2代目瀬川菊之丞(の俳号)由来で流行したものだ。
往事を懐かしむ源内の言葉に蔦重がひらめいた!

この場面で突然、女装した男性2人が現れて「ちょいと八さん、この花魁の着ている柄、洒落てないかえ?」「どこのお店のなんて柄なの?」とやり取りを始めるので一体なにごとかと思うが、このふたりは熊吉(山根和馬)と八五郎(阿部亮平)。1話、蔦重が桶伏の刑で閉じ込められて考え込み、吉原細見を使って客を呼び寄せる案が浮かんだときにもいるので、どうやら蔦重のビジネスアイデアを描く際の脳内登場人物のようだ。

いい考えが浮かび、喜び勇んで駆け出す蔦重を見送ったあとの源内に接触したのは、田沼意知。源内への密命と共に重要書類を渡したようだ。その中身は?
源内が居宅で解体して、筆跡を分析している書類の表紙には『覚 両家處置之事』。
源内、とんでもないことをしようとしてないか。

西村屋登場

蔦重が閃いたアイデアとは、呉服屋が売りたい着物を女郎に着せて絵にする、宣伝になるから呉服屋からその絵の費用を出してもらうこと、つまりタイアップだ。
その企画を聞いた忘八連合は、ひそひそひそひそ密談する。

大文字屋市兵衛(伊藤淳史)「錦絵を作るのに1枚ざっと何両だっけ?」
蔦重「絵柄1枚あたり、1両で200枚は刷れます」

このやりとりを見るに、忘八たちは出版コストについて把握していない。最初女郎たちにひとり5両出せと言っていたのは、中抜きするつもりはあったにしても単にわかっていないからかもしれない。
そして、忘八連合から承認を得た蔦重は全力で走り始めた。吉原にやってくる呉服屋の若旦那たちを接待する。しかし「親父に伝えておく」だの「考えておく」だの。「決定権は上にある」「検討します」などの返事は、現代と同じだ。なかなか色よい返事は得られない。

呉服屋が乗ってくれないという蔦重からの相談に、駿河屋市右衛門が答える。
「路孝茶色の着物は瀬川菊之丞だから流行った」
「おめえに名が無い」
だから皆が乗らないのだと。
ぶっきらぼうでつっけんどんだが、的を射た助言だ。足りないのはネームバリュー、企業としての信頼と実績。
そこに地本問屋・西村屋与八(西村まさ彦)の登場。西村屋! 市右衛門の言葉にもあった通り、錦絵で有名な板元(版元)だ。西村屋はこれから先、この作品の中でも次々登場するであろう絵師、有名な作品との関わりが深い。そんな有名版元が蔦重の企画に「一枚かませてもらえないかい」「ほの本屋との取引も取り計らうことができるよ」と声をかけてきたのだ。

すごくいい話! 蔦重にはまだない「企業としての信頼」を持つ西村屋が参入したことで、呉服屋からの出資がスムーズに得られた上、絵師は美人画を得意とする有名絵師・礒田湖龍斎(鉄拳)に決まった。
順調に仕事が成立してゆくのに目をキラキラさせている蔦重に、更に西村屋が話を持ち掛ける。「お前さんも版元印を考えてみてはどうだい?」「お前さんももう立派な版元だよ」。
蔦重「おれ、版元かあ……」

3話で本を作る楽しさを知って涙ぐんだ彼の姿を思い出す。出版業、版元を名乗れるのなら、あの幸せを何度も味わえるのなら。うっとりするのも当然だ。

この仕事でうっとりするのは蔦重だけではなかった。礒田湖龍斎の見事な下絵を、唐丸が魅せられたように見つめる。その様子を源内に話すと、唐丸に絵を教えてやろうかと言ってくれる。そして取り出したのは、杉田玄白著『解体新書』! 教科書で見たやつ! 医師で蘭学者の前野良沢と杉田玄白らが手がけた、日本最初の本格的な西洋医学翻訳書だ。

源内「これ(解剖図)描いたやつに絵を教えたの俺だから」。

このあたりを話すと長くなる。時代劇『風雲児たち~蘭学革命編~』(2017年)を再放送しましょうよ、NHKさん。
蔦重は平賀源内に版元としての名、堂号の名付け親になってくれるように頼む。そして生まれた名とは──。

唐丸は誰になる?

吉原に帰ってきた蔦重を待っていたのは、猫のいたずらでびたびたに濡れ、台無しになった美人画の下絵だった。ああああああ、猫を飼った人間にとっては誰しも覚えがある。猫は悪くない、そんなところに置いた人間が悪いのだ。
唐丸が「おいらになおさせてもらっていい?」と申し出た。ここで初めて発揮される唐丸の、とびぬけた絵の才能。模写してできあがった美人画の完成度たるや。

蔦重「おめえはとんでもねえ絵師になる! いや、俺が当代一の絵師にしてやる」
唐丸「おいら、絵師になるの?」

この場面、「押しつけられたくねえよな」と慌てて謝る蔦重がいい。これまでの人生に選択肢などなかった彼は、自分と似た境遇である唐丸の道を狭めたくないのだ。しかし、唐丸は蔦重の言葉に喜ぶ。のちに蔦屋重三郎と深く関わる絵師は数多いる。その中でも特に有名で、そして出生不明なのは喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎。唐丸はもしかしたら、このうちの一人になるのか、それとも全く関係ないのか。気になるところだ。

唐丸が描いた下絵によって刷り上がった絵は、礒田湖龍斎本人でも他人の筆だと気づかぬ出来栄えだった。
同じころ、田沼意次のもとに届いた例の重要文書『覚 両家處置之事』。8代将軍吉宗が、田安家と一橋家についての取り決めを書き残したものだ。その最後の頁に、

「附 田安一橋両家の處置に付て 田安一橋の両家は継ぐもの無き仕儀となれば其儘当主を置かず御家断絶とする事(田安家と一橋家は、後継者がいなければそのまま断絶とする)」

この文言が8代将軍徳川吉宗の署名、花押(本人を示すサイン)とともに書き加えられている。つまり源内が秘密裡に作業していたのは、公文書偽造。なんと大胆な……その完成度に意次は大満足だ。
ちなみに、御三卿の内ここで処遇が決められているのが、なぜ田安家と一橋家だけなのか、清水家について触れられていないのか。田安家と一橋家は吉宗の次男と四男の血筋、清水家は吉宗の嫡男9代将軍・家重の次男の血筋で、吉宗の死後に創設された家からだ。

側近の三浦庄司(原田泰造)が不安を口にする。「賢丸様がこの文書を既にお読みになってるなんてことはございませんか?」「気づかれてしまうのでは……」
意次は自信満々に「書庫で分厚く埃をかぶっておった」「吉宗公、吉宗公と崇め奉るが、お手ずからの文書すら読んでおらんということよ。皆も、あの小僧もな」

意次には欺瞞は通じない。権威に頭を下げはするが、その実、鼻で笑っている。
果たして偽の吉宗公文書に、賢丸も武元も完全に騙されてしまった。意次のでっち上げたいきさつを疑いながらも、文書があっては飲まざるを得ない。ただ怒りと憎しみは燃える。

賢丸「なぜ足軽上がりにここまで愚弄されねばならんのだ!」

田沼意次は賢丸の言うように紀州藩士の足軽だった父を持つ。将軍家に繋がる血筋である老中筆頭・松平武元も、身分の低い家の出である意次に政治をいいようにされることに耐えられない。そうした思いはありそうだ。歴史上の事実としては、松平武元と田沼意次とは協力して政を行っていたと思われる。武元と意次の反目はドラマとしてのもので、源内の公文書偽造はもちろんフィクションである。

しかし、ちょっと気になっているんですけども。この文書は田安家と一橋家について記されている。賢丸は読んでいないようだが、治済はどうなのかなと。彼が一橋家の家督を継いだのは明和元年(1764年)、今から10年以上前。もしかして当主になってすぐ目を通してません? 下手すると写しとか取ってません? その手の脇の甘さはない気がするんだ、生田斗真が曲者感たっぷりに演じているし。もし治済が文書偽造の証拠を握っていたらまずいぞ、田沼意次。

版元、発行人となることはまかりならぬ

さて、源内が蔦重に授けた堂号は『耕書堂』! 書を以て世を耕し、この日本をもっともっと豊かな国にするんだよという言葉も受け取った。その堂号と言葉を携えて、蔦重は錦絵お披露目の場へと馳せ参じた。

刷り上がった女郎の錦絵は見事な出来で、ここに揃った全員が感嘆の声をあげる。ほんとうに、画面越しに見ても素晴らしい。
『雛形若菜初模様』と名付けられたこのシリーズを、これからは蔦重の耕書堂と西村屋で共同出版を……と思ったら、西村屋が「自分のところで出版する」と言い出した。どういうことか。

ここで、同席した鱗形屋孫兵衛と鶴屋喜右衛門(風間俊介)が説明する。鶴屋は本店が京都にある江戸でも老舗の地本問屋だ。西村屋と同じく、現代の我々に伝わる数作品を多く出版している。
鱗形屋「市中では地本問屋で決められた仲間の内で認められたものしか版元をやってはならぬ定になっておってな」「版元、発行人となることはまかりならぬのです」

商工業が発達した江戸時代、様々な業者が自分たちの商売と秩序を守る目的で「株仲間」を作った。読書が庶民の娯楽になり、ベストセラーも出るようになった出版業界では、海賊版・盗作が横行したために版元たちが仲間を結成。そして株仲間は幕府に運上冥加金(営業税)を納めることで組織と権利の保護を受けているのだ。ただし幕府の保護下に入るということは、言論・出版統制と無縁ではいられない。それについては将来的に、蔦重も直面することになる。

この版元の株仲間制度については忘八連合も全く知らないことで、納得いかない楼主たちは皆口々に蔦重のための反論はしてくれた。しかし、他業界のビジネスルールを無視して進めるわけにはいかない。蔦重と忘八らに、下調べが不十分という甘さがあったのだ。大文字屋から蔦重に「お前さえ手を引きゃ、みんな丸くおさまるってこった」という結論になった。
できあがった『雛形若菜』を販売することは駄目、新たな版元となることも駄目。ついに蔦重はキレた。「んなおかしな話あっかよ!!」 そうだそうだ!! 言ったれ、蔦重! 憤りを鎮めたのは、駿河屋の親父様だった。

市右衛門「吉原のためだ」「錦絵が広く出回ることが吉原のためだ」

今までのように蔦重を乱暴に叩き出さないのは、客の面前だからというだけではない。蔦重の努力も労力も認めている。そして、しょせんは吉原者のすることと軽んじられる悔しさも知っている。安永元年(1772年)の吉原における、ある不動産トラブル裁判記録では「遊女屋の主人と申すは四民の下」と記されている。どれだけ儲けても威張っても、吉原にいる限り外では認められない。骨身に沁みてそれを知る市右衛門は、遊郭では収まりきらない才能を持つ蔦重を哀れに思っているのだろう。

市右衛門は勘づいていたようだが、鱗形屋と西村屋は最初からグルだった。今回のことは蔦重の甘さがあった、それはまだわかる。しかし版元印を作っちゃどうだいとか、なぜあんな残酷なことを言ったのだ。許せん。ふたりで祝杯をあげる座敷を必殺仕事人に通報したくなる!

次週予告。里見浩太朗が江戸の町に現れた! きっと助けてくれるだろうという安心感。唐丸を連れ出す怪しいオッサン誰やねん。源内先生どうやらピンチ。一体なにが?
5話も楽しみですね。

*******************

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
公式ホームページ
脚本:森下佳子
制作統括:藤並英樹、石村将太
演出:大原拓、深川貴志、小谷高義、新田真三、大嶋慧介
出演:横浜流星、安田顕、小芝風花、高橋克実、渡辺謙 他
プロデューサー:松田恭典、藤原敬久、積田有希
音楽:ジョン・グラム
語り:綾瀬はるか

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』1話イメージイラスト/主人公の蔦重と花魁・花の井は幼なじみ。初回は九郎助稲荷様がスマホで吉原を案内してくれた/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』1話イメージイラスト/主人公の蔦重と花魁・花の井は幼なじみ。初回は九郎助稲荷様がスマホで吉原を案内してくれた/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』2話イメージイラスト/吉原の花魁・花の井は平賀源内の切ない思いを見抜く。一方、江戸城内。老中・田沼意次は経済政策が理解されず、苦悩している/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』2話イメージイラスト/吉原の花魁・花の井は平賀源内の切ない思いを見抜く。一方、江戸城内。老中・田沼意次は経済政策が理解されず、苦悩している/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』3話イメージイラスト/女郎の酷い境遇に二文字屋女将・きくは閉業も覚悟。そんな吉原に蔦重の活躍で客足が戻る。しかし、鱗形屋孫兵衛、一橋治済の動向から暗い影が……/南天
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『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』4話イメージイラスト/忘八連合はみんな猫が好き? 大黒屋のりつの抱く愛猫の名は半助。蔦重はまたも吉原を活気付かせる妙案を思いつくが……/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』4話イメージイラスト/忘八連合はみんな猫が好き? 大黒屋のりつの抱く愛猫の名は半助。蔦重はまたも吉原を活気付かせる妙案を思いつくが……/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』1話イメージイラスト/主人公の蔦重と花魁・花の井は幼なじみ。初回は九郎助稲荷様がスマホで吉原を案内してくれた/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』2話イメージイラスト/吉原の花魁・花の井は平賀源内の切ない思いを見抜く。一方、江戸城内。老中・田沼意次は経済政策が理解されず、苦悩している/南天
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』3話イメージイラスト/女郎の酷い境遇に二文字屋女将・きくは閉業も覚悟。そんな吉原に蔦重の活躍で客足が戻る。しかし、鱗形屋孫兵衛、一橋治済の動向から暗い影が……/南天
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