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やり場のない怒りや自己嫌悪——介護にまつわるつらい気持ちはどうすればいい?

介護悩みをひとりで抱え込んでいる人へ。疲れて困り果て、どうしていいかわからない時、同じ境遇の人の体験談が心を軽くしてくれるかもしれません。「クロワッサン」読者の皆さまの体験をご紹介した後、介護者メンタルケア協会代表 橋中今日子さんに「介護に疲れた時、心が軽くなるヒント」を聞きました。

イラストレーション・しりあがり寿 文・長谷川未緒

高齢の親に振り回される日常

プライドが高い親のお金への固執にうんざり

認知症の80代の母がどんどん、まさに「子ども返り」しています。暴言、妄想、気分がコロコロ変わるは日常茶飯事。プライドが富士山より高い人なので、言い出すと決して譲らず、10分おきになくしものを探します。

最近は、いよいよお金のことへの固執がひどいです。渡されてもいないお金をあなたに渡した、メモに書いてある、と言い張る。それが認知症による「モノ盗られ妄想」だとはわかっていても、身内にお金のことを言われるのは本当にいやなものなのだなぁと思い知りました。

ほかのことはどんどん忘れても、そういったことに限って絶対忘れず、言い張り続けるので、まともに受け取ると疲れてしまいます。(50代)

父に振り回された母が今になっても不憫

79歳で亡くなった父は暴力的になるタイプの認知症でした。本人もイライラするのか、大きな物音を立て続けたり、大声で変な歌を歌ったりするので、一緒に暮らす母はガマンの限界をはるかに超えていたようです。

さらに憎らしいのが、介護士さんや病院の方々、たまに会う娘(私)の前ではしおらしく、いわゆる“外ヅラ”のよさだけは保っていたこと。認知症は病気だとわかっていても、母があまりに不憫で、今も時々、怒りが込み上げてきます。(40代)

徘徊につきあわされ、疲労困憊

90代の父は、認知症だけど足腰は元気というパターン。実家で母と暮らしていますが、「ここはどこだ?家に帰る!」などと言って、夜中に家を飛び出してしまうことがあり、そのたびに母から電話がかかってきて探しに行かなければなりません。

もし行方不明になったらどうしようと不安も募りますし、自宅と実家は車で15分と遠くないものの、疲れた身には重荷です。正直、「いつまで続くのかな……」と、不謹慎ですが思ってしまいます。(70代)

身内は味方になってくれない

頑固な母と折り合いがつきません……

昔から頑固で、自分のことは自分でやる独立心の強い70代の母は、がん闘病後に要介護認定を受けたあとも、その性格は変わりません。

最近、いよいよ家事がままならなくなってきて、離れた場所で暮らす私は頻繁に通えるわけではないため、宅食サービスや家事代行サービスを頼もうと話しても、「自分でやる」の一点張り。それでも心配なのでいろいろなサービスについて話したところ、「うるさいからもう来るな」とまで言われ、ほとほといやになってきました。(40代)

親戚の無理解にも深く傷ついた介護生活

母の様子を知らせてこない、と私をなじる親戚に強い怒りを覚えたことがあります。日々介護で疲労困憊しているのに、報告メールという新たなタスクを加えるの?と。

しかも毎月面会に来ると言い出し、医師やヘルパーさんとの間に組んでいる網の目のような訪問スケジュールに割り込もうとしました(結局1回来たのみでしたが)。

私の苦労や苦しみへのあまりの無理解に深く傷つき、以前はその親戚を尊敬していましたが見方も変わってしまいました。(50代)

やってもらって当然という態度にイライラ

90歳の母は、大腿骨を骨折してから歩行が困難になり、自宅で介護をしています。最初のうちは何度も謝ってくるなどしおらしい様子を見せていたのですが、最近は、「やってもらって当たり前」になってきました。

ありがとうも言わない態度にはイライラすることもあるのですが、これは自分が子どもの頃、親に面倒を見てもらうのが当たり前と思っていたのと同じだから、お返しなんだ、と思うようにして、自分を納得させています。(50代)

親の糞尿の始末に絶望と悲しみの連続

認知症の母を4年間自宅で介護しました。家族は施設に入れようと言いましたが、母が家にいたいと強く願っていたため私が説得しました。

当然、介護主体は私。そこまでしているのに歯磨きを嫌がってコップを投げつけられたり、何度言っても私の目を盗んで一人でトイレに行き、失敗。糞尿の始末をする羽目になったり。きれいごとにまとめるのは嫌いです。

認知症介護は絶望と悲しみに満ちています。まずそれを認めることからのスタートだと思います。(50代)

意見が合わないと怒る兄のせいで……

兄が激烈な人なので、これまでできるだけ関わらないようにしてきましたが、母が独居で要介護3の認定を受けたため、兄と介護の協力をしなければいけないことに。

兄は自分の中の“こうするべき”が強く、意見を求められて答えても、兄の意にそぐわないと「じゃあ、お前がやれよ!」とブチ切れる始末。

母の症状を考えるとリハビリを入れたほうがいいのでは……など個人的には思うところもありますが、兄が恐ろしく、言えずに放置してしまっています。(40代)

自分の母のことなのに、夫は責任放棄

ヘルパーさんの支援のもと、どうにかひとり暮らしをしている90代の義母の面倒を私が見ています。夫は単身赴任中ということもあり、何か相談をしても「任せるよ」と責任放棄。子どもたちも「おばあちゃんのところに行ってきて」とたまに頼んでも、まったく協力してくれません。

心も体もきつい時に誰も頼れる人がいないのもつらいですし、義母は心身ともに活力を欠いたフレイル状態なので、何かやってあげても反応もなく、それもこたえます。(50代)

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