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調理法や盛りつけ、市販品の活用——介護の食をおいしく支える8つのヒント

低栄養や誤嚥の心配をケアしつつ、食べる喜びを叶えたい。覚えておきたい知識と家でできるひと工夫とは。気負わず、手軽においしくを目指して。

撮影・青木和義 スタイリング・渡邊美穂 イラストレーション・fukucoco 構成&文・薄葉亜希子

親の食が細く痩せてきたのを見ると、慌てて栄養食品や新しい調理器具を買って送る。

よかれと思っても「訪れると、実はうまく使えていない方が多いんです。高齢の方はこれまでの食事をいかに続けられるかという点を忘れずにサポートしてあげたいですね」と、管理栄養士の中村育子さん。

さらに介護を終えたとき、「食べたいものをもっと食べさせてあげればよかったと後悔する人が少なくありません」と話すのは、歯科医の齋藤真由さん。

ゆとりを持って見守るために心に留めておきたいことから考えてみよう。

調理法や盛りつけ、市販品の活用——介護の食をおいしく支える8つのヒント

食べられなくなる原因は人それぞれ

筋力や胃腸の働きが低下し、味覚や嗅覚も鈍く、唾液量が減る。加えて服薬の影響や脱水症状も……と実に千差万別。

「これらが複合的に起きますから、よく見てあげることが大切です。ほかにも老人性のうつ症状や口腔トラブルによる影響も高齢者には多いです」(齋藤さん)

そうなると心配なのが低栄養の状態。

「一度2〜3kg落ちると戻すのは本当に大変。『体重は?』と普段から気にかけてあげるといいですね」(中村さん)

「令和5年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)をもとに作成
「令和5年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)をもとに作成

「おおらかにおいしく」が合言葉

痩せてきた、栄養不足かも。心配になるとおいしさを後回しにして栄養のあるものを食べさせたくなるが、「おいしいと思わなければ、なかなか食べません。赤ちゃんとは違います。本人の意思を尊重しながら見守りましょう」(中村さん)

そして神経質になりすぎるのも禁物。

「食べられない日があっても3日間で栄養が摂れていればよしとするなど寛容に受け止めてあげましょう。ただ定期的な体重のチェックは忘れずに」(齋藤さん)

食を支えるには観察することから

食べる量や料理の好み。自分が思っているよりも親の食事の内容は昔と変わっていることが多い。

「たとえば親の作る料理の味が濃くなっていれば味覚の低下が考えられ、葉物野菜を残すのは噛む力が弱くなり、水分を摂りたがらないのはむせやすいからなど一緒に食事をするとよくわかります。もう歳だからと肉や魚を食べなくなる人も増えますが、たんぱく質は何歳になっても必須です」(中村さん)

こんな様子がないかチェック!

◻︎食べる量が減っている。
◻︎味つけが濃くなった。
◻︎肉や魚をあまり食べない。
◻︎繊維質な葉野菜を残す。
◻︎つるつるした麺が食べにくい。
◻︎水やお茶を少ししか飲まない。
◻︎箸がうまく使えずこぼす。

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