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『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』PLAY! MUSEUM【青野尚子のアート散歩】

文・青野尚子

3つの「F」で紐解く堀内誠一の世界。

雑誌のデザインや絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)などの作品で知られる堀内誠一。彼の作品を3つの「F」で紐解く展覧会が開かれる。

最初の「F」、「FASHION」では堀内が1970年の創刊から49号までロゴや表紙、誌面全体のデザインを手がけた『anan』を紹介する。『anan』は7号で洋服はもちろん、音楽、会話、食べ物、旅行、あらゆることがファッションだと宣言する。堀内のデザインはそんな新しい時代を提案するものだった。

『anan』表紙(47号、1972年)平凡出版 (C)マガジンハウス(C)Seiichi Horiuchi
『anan』表紙(47号、1972年)平凡出版 (C)マガジンハウス(C)Seiichi Horiuchi

2つめの「F」の「FANTASY」では原画などで彼の絵本を紹介する。幼い頃から絵を描くことが大好きだった堀内は26歳で『くろうまブランキー』(福音館書店)を出版する。後に「絵本作家の道こそ運命が決めた本命」と語った彼は70冊以上の絵本を残した。展覧会では高さ3メートルもの絵本や、光や音の演出による森のような空間で彼が大切にしていた「ファンタジーのおもしろさ」を体感できる。

3つめの「F」は「FUTURE」。俳優の秋川リサ、エッセイストの松浦弥太郎ら堀内をリスペクトする100人強が彼から受け取ったもの、未来へ伝えたい言葉とともに、それぞれが愛する堀内作品を見せる。

『ぐるんぱのようちえん』(1965年) 福音館書店
『ぐるんぱのようちえん』(1965年) 福音館書店

一人の仕事とは思えないほど多彩な作品を残した堀内は1987年に54歳の若さで世を去った。しかし彼のデザインや絵本からこぼれ落ちた種は今もたくさんの花を咲かせている。その種が未来に咲かせる花も楽しみになる展覧会だ。

《キエフのかえで林》(1982年)
《キエフのかえで林》(1982年)
堀内誠一は、1932年、東京生まれ。雑誌のアートディレクションや絵本制作を手がける。1973年から’81年、パリ近郊に移住、旅行記やガイド本も執筆した。展覧会にはフランスから友人へ出した手紙も並ぶ。
 
『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』
1月22日(水)~4月6日(日)
 
●PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3・1 GREEN SPRINGS W3棟 2F) 
TEL.042・518・9625 
10時〜17時(土日祝〜18時) 2月16日休 
入場料一般1,800円ほか
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1133号より

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