パフェは、私にとってはアート。その場限りのはかなさもいいです。
撮影・黒川ひろみ 文・三浦天紗子
ディテールへのこだわりがパフェの魅力を後押し。
宮田 うちに来てみたいという人の中には「予約が難しい話題の店だから」という動機の人も少なくないんだけれど、私はやっぱり創り手なので、本質を見てくれる人のほうが好きなんです。
ラウラ フランス語の「パルフェ」から来ている「パフェ」だから海外にもあるんじゃないかと思っている人が多いんですけれど、ここまで繊細でこだわりが詰まったパフェが盛んな国は、日本以外にほとんどないです。こだわりというのも英語にない言葉で、私は日本文化の専門家ではないんですけれど、ディテールへのこだわりがすごいなといつも感動してしまいます。
宮田 そのせいか、うちは海外から訪れるお客さんもすごく多いです。
ラウラ 私がパフェを意識し始めたきっかけは早稲田大学時代なんですね。私は高校と大学、2回交換留学で日本に来ているんですが、早大生だったころはすごい円高だったのでとにかくお金がなくて。バイト先の先輩が「日本体験をしよう、美味しいものをご馳走するからね」と連れていってくれたのが日本橋の千疋屋。
私はフィンランド生まれで、デザイン大国でもあり、アイスの消費量が世界的に見ても多い国ですし、昔からどちらも大好きなんです。そこで食べたフルーツパフェに感激して、「パフェってアイスと建築が合わさったものみたい!」と思ったんですよね。そのあと、北海道大学大学院に進み、修士論文の息抜きによくパフェを食べました。
その後、東京で就職して、等々力の『パティスリィ アサコ イワヤナギ』か神楽坂の『アトリエコータ』か覚えてないんですけれど、どちらかで超芸術的なパフェを食べたのを機にどんどん沼に(笑)。
宮田 ラウラさんからはシンプルにパフェのことが好きという感じが伝わってきます。人間性も面白いし、本当に気持ちのいいお客さん。
ラウラ 私、宮田さんが創ったパフェで忘れられないのがやっぱりティラミスパフェなんですよ。いままでの人生で、いちばん多くリピートしているパフェだと思います。
宮田 絶対ティラミスって言うと思ってた(笑)。ティラミスパフェは一応うちの定番と言っているんですが、1年に2回か3回しか出さないんですよ。旬の果物が弱くなる時期に不定期で出すんですが、「これがもう一度食べたかった」とまた頼んでくれる常連さんが多いですね。
ラウラ フィンランドはコーヒーの消費量が世界一だから、私自身がコーヒー好きというのもあるかもしれないんですが、ティラミスパフェには日本とフィンランド、両方の国のすばらしさを感じるんですよね。パフェってパーフェクトが語源だけれど、あれは本当にパーフェクト!
⚫︎Pâtissière MAYO(パティシエール マヨ)
東京都港区六本木7・10・2・3F
TEL.なし
営業時間:18時~23時 日・月・火曜休 完全
予約制。予約サイト「OMAKASE」(https://omakase.in/ja)にて、毎月20日11時から翌月分の予約ができる。同じビルの2階にジェラートと焼菓子のショップ『Pâtissière MAYO flat』があり、こちらは予約なしで買える。
芋栗かぼちゃのパフェ
1.枯れ葉型にしたココアのチップ、かぼちゃのチップ
2.丹波栗のモンブランクリーム
3.和紅茶のアイスクリーム
4.シルクスイートのスイートポテト
5.かぼちゃプリン
6.生クリーム
7.トンカ豆のサブレのクランブル
8.そばのパンナコッタ
9.ラム酒のジュレ
りんごのパフェ
1.りんごの飴細工
2.熱々のアップルパイ
3.バスクチーズケーキのアイスクリーム
4.フレッシュの青りんご
5.紅茶のクリームブリュレ
6.スパイスのサブレ
7.生クリーム
8.りんごのコンポート
9.りんごのシロップ
10.りんごのジュレ
『クロワッサン』1131号より
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