日々のテーブルを印象的にする、食器選びや料理の盛り方7つのテクニック。
簡単に取り入れられるテクニックで、日々のテーブルをもっと楽しく、印象的に。
撮影・黒川ひろみ スタイリング・矢口紀子 文・新田草子
この料理なら、このうつわでこの盛り方。誰にもそんな「定番」があるものだけど、そればかりが続くと飽きてしまうこともある。
「ときには固定観念にとらわれず、自由な発想でのうつわ選びや盛り付けに挑戦を。思わぬ発見があります」
と、スタイリストの矢口紀子さん。
「例えば、漆などの和食器をあえて洋風のメニューに使う、あるいはざるなどの調理器具を食器として取り入れてみる。ちょっとしたことですが、テーブルの印象ががらりと変わります」
今回教えてもらったのは、すぐに真似できる7つのテクニック。眠っているうつわの活用術や、うつわを買い足す際のヒントとしても役立つはず。
1.洋風の食事を和食器に盛る。
白い陶磁器で、というイメージがある洋風の朝食も、
「シンプルな和のうつわが意外と好相性。例えばコーヒーカップを蕎麦ちょこに替えて、トーストには土ものの平皿を合わせ、あつあつのスープは浅めの漆器で。漆のうつわは熱いものを入れても手に取りやすく、その点でも理に適っています。もちろん、ヨーグルトやシリアルを入れてもいい。まとめて木の盆に並べれば改まった雰囲気になり、気分も変わります」
2.同じ料理で、うつわを変えてみる。
例えばころころとした形状のミニトマトのマリネなどは、
「深鉢に高く盛ると収まりが良く安定感がありますが、平皿に並べることでまた違った表情が楽しめます。平皿は周囲に余白を作ると洗練された雰囲気に。おもてなしのテーブルでも映えます」
盛り付けで見せ方を変えるときは、料理の高さを普段と変えるように意識するのがコツという。
「平たく並べがちな揚げ物などの料理を、あえて深鉢に積み上げてみるのも一案です」
3.長いお皿を使って食卓に変化を出す。
テーブルに動きをもたらす名脇役として矢口さんがすすめるのが、長さのある皿。
「ちょっとした料理を品良く盛るのに重宝します。例えばフィンガーフードなど、同じ料理を連続して並べるだけで絵になります。カヌレやチョコレートのようなお菓子も、1列に並べると特別感が」
また、おつまみなどを少量ずつ、というときも長皿が役に立つ。
「異なる食材を、間隔を空けて並べられるのも長い皿の長所。チーズプレートなどでぜひ試して」
4.かごやざるをうつわ代わりに使う。
「かごやざるは通気性が良く、リベイクしたてのパンをのせたりするのにぴったり。食卓にほどよい抜け感も生まれて一石二鳥です」
枝豆や蕎麦をのせるだけではもったいないアイテム。食卓でも上手に使いこなしたい。
「紙や布を敷くと食材を盛りやすくなり、油の染み込みやパンくずなどでの目詰まりも防げます。ペーパーナプキンのほか、意外と相性が良いのがさらし。素朴な質感がかごやざるとよくなじみます」
5.大皿にまとめてアレンジ。
来客時などに試したいのが、大皿+豆皿のプレゼンテーション。
「フラットな大皿をトレー代わりに、豆皿にのせた料理をずらりと並べて華やかに。あえて質感の違う皿を使ったり、小さなグラスを混ぜたりするのも楽しいですよ」
少しずつ残ったお惣菜で昼ごはん、などというときも、こんな盛り付けなら気分が上がりそうだ。
「大皿は一枚あると便利。直径27センチ以上で、リムのないものが使い勝手が良くおすすめです」
6.楕円皿を効果的に使う。
「オーバル皿はどんな料理も見栄え良く盛れる、万能選手です」と、矢口さん。例えばアスパラガスや干物など細長い食材も、
「丸皿にのせたときと違って上下が余ることなく、きれいに収まります。また、片側にトースト、反対側にはおかず、などと左右でゾーニングできるところも魅力。複数枚並んでもテーブル上で場所を取らないので、人が集まったときの取り皿としても大活躍です」
ぜひ何枚か揃えておきたい。
7.テイストミックスを楽しむ。
皿数が並ぶホームパーティなどでは、うつわ同士の相性を気にしてつい無難な白や無地を選びがちだけれど、矢口さんは、
「洋食器や漆器、エスニック、民芸調などあえて多様なものを混在させると、テーブルが一気に楽しくなります」と、アドバイス。
「自分の好みで選んだうつわはどこかに共通点があり、テイストが違ってもしっくりとなじむもの。大柄モチーフのうつわも料理を盛ると落ち着き、周囲と調和します。ジャンルにとらわれず、大胆な取り合わせを試してみてください」
新たなテイストのうつわに出合える、おすすめの2軒。
グランピエ
大らかな絵付けのスペインの大皿や、ユーモラスなルーマニアのうつわなど、「スタイルミックスに欠かせない西洋民芸の逸品を探すならここ。味わいのあるうつわは、ひとつあるだけで食卓に奥行きが」
東京都港区南青山3・4・4 カサビアンカ1F
TEL.03・3405・7269
営業時間:12〜19時 無休
工芸喜頓(きいとん)
「オーナーの目を通して選ばれた民芸のうつわは、どこかモダンな印象で、洋食器との相性も抜群。深みのある美しい鉢や力強い柄の小皿など、料理を盛るだけでさまになる素敵なうつわが揃います」
東京都世田谷区世田谷1・48・10
03・6805・3737
営業時間:13〜18時
日・月・火曜、祝日休
『クロワッサン』1101号より