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【お血脈】演者のセンスで味わいが違う、閻魔大王が登場する"地噺"の名作。│ 柳家三三「きょうも落語日和」

イラストレーション・勝田 文

【演目】お血脈(けちみゃく)

【お血脈】演者のセンスで味わいが違う、閻魔大王が登場する"地噺"の名作。│ 柳家三三「きょうも落語日和」

あらすじ
天竺でお釈迦様が開いた仏教。これを日本に伝えるべく海を渡って来た阿弥陀様だが、時の権力者に虐げられ、金の阿弥陀像は池に打ち捨てられてしまった。本田善光がお像を発見、信濃国に安置したのが長野・善光寺の縁起である。
この善光寺で、お血脈の印を額に戴くと、誰でも罪障消滅して極楽浄土へ行かれるという。そこで人々が大挙して訪れたので、死後は皆が極楽往生。あべこべに地獄は亡者がやって来なくなり、衰微してしまう。閻魔大王が地獄存亡の危機に打った起死回生の一手とは…。

江戸時代、浅間山の大噴火で苦しむ人々を救うために、善光寺が「融通念仏血脈譜」というものを、極楽浄土へ行くおまもりとして与えたそうです。それを題材としてこの噺ができました。

といっても、堅苦しいどころか、かえって他の落語よりも柔らかいぐらいです。

通常の落語は、登場人物どうしの会話で物語が進み、演者の視点でナレーション的に喋る部分は最小限に抑えます。この「お血脈」は〝地噺〟といって、基本的に落語家がストーリーを語り進めることで物語が進んでゆきます。

ですから地噺では演者のセンスで話を脱線させたり、時事ネタを盛り込んだり、ときにはその場のアドリブで笑いを取ったり、演じ方の自由度が高いのです。その日のお客さまとどんな落語日和を作り上げることができるか、噺家の腕の見せどころ。それを存分に満喫してくださいね。

『クロワッサン』1080号より

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