発信することで人の役に立つ喜びも。ミランダかあちゃんによる大人のSNS活用術。
撮影・山本康典 文・吉永美代
大人こそ楽しい利点がたくさん! SNSは発信してこそ充実します。
ポジティブオーラあふれる「ミランダかあちゃん」こと輪湖もなみさん。説得力ある発信が、ファッションに迷う大人女性の支持を集めている。
ブログやYouTubeのほか、SNSではInstagramを愛用。インスタといえば“映え”る写真を発信する場だったが、近頃は文字のみで構成された、生活の知恵などの発信者も増加中。大人世代が臆せず発信できる場になっているという。
「他人の生活を見て羨ましがっているだけじゃもったいない。50年近く生きていれば、誰しも豊富な経験があるもの。しかも私たち世代は仕事でPCに触れてきた“デジタルネイティブマダム”。リアルな知恵をSNSでシェアできるのは、私たち世代の強みです」
子育てや病気の経験、グレイヘアにした経緯など、内容は身近なほどいい。
「その発信が誰かの少し先の道しるべになるかもしれない。人の役に立つことは、生きる喜びになります。昔は定年で引退でしたが、今は何歳でも発信を通してその喜びを感じられるのです」
好みの似た人が集まるから 気の合う友人も見つけやすい。
自分好みの情報が集まるようになっているSNSの設計も魅力だという。
「YouTubeもInstagramも、好みや世界観が似た人が集まるようにできているんですよね。昔はリアルの友人しかできなかったけれど、今はSNSを通して趣味の合う友人ができます。もし連れ合いに先立たれたとしても、SNSを通したつながりによって、深い孤独を少し癒やせるかもしれません」
SNSは付き合い方次第で、老後の自分を救うツールにもなりえるのだ。
(Lesson 1)SNSも対人コミュニケーション。 否定コメントだって対応次第で味方にする。
YouTubeやInstagram、ブログに寄せられるコメントは、多いときで一日400件にものぼるというが、そのすべてに返信。時に寄せられる否定的なコメントに対しても、その誠実な姿勢を崩さない。
「返事があると思ってらっしゃらないのか、びっくりされることが多くて(笑)。
私はいつも、目の前にいる人にお話ししているようなつもりで発信しているんです。
ネットは匿名性が高いけれど、発信者の私も、コメントくださる方々も、ひとりの人間ですよね。面と向かってひどいことを言う人なんて、本来はそんなにはいないものでしょう?
リアルでのコミュニケーションと同様に、相手の意見を真摯に受け止めて接すれば、態度が和らぐ方が多いです。中にはそのやりとりを通してファンになってくださる方も。
どうしてもうまくいかない場合は、ミュートすればお相手には知られずに離れることが可能です」
(Lesson 2)洒落たガジェットを取り入れて、 SNSと密着した生活を軽やかに楽しむ。
近ごろのお出かけスタイルは、スマホと小さなポシェットだけ。
「キャッシュレス決済のお店が増えたのでお財布も小さくしました。撮影はスマホのカメラで充分だし、マスク生活だとメイク直しもいらない(笑)。身軽に出かけられると、〝出先で美術館に寄ろうかな〟とフットワークもよくなります」
メルカリでは大好きな〈ドリス ヴァン ノッテン〉の買い逃しアイテムを探したり、国内外のネットショッピングも活用している。
「かさばる荷物もネットショッピングなら玄関まで運んでもらえるし、ネットバンキングを使えば銀行に並ぶ必要もない。遠くのお友だちにZoomで会ったり、ヴァーチャルで海外旅行だってできます。
体を動かしにくくなる高齢世代こそ、デジタルの恩恵は多いですよね。今のうちからガジェットを使い慣れておいたほうが、将来の生活も便利に軽やかに過ごせるはず」
(Lesson 3)通知を上手にコントロールするのがスマホに振り回されないコツ。
Instagramとブログはほぼ毎日、YouTubeは週2回更新と、発信を軸に生活している今は、自由な時間は週1度、趣味のテニスのみでほぼ休日はないそう。「楽しんでやってることだから」と軽やかに微笑む。そんな生活だからこそ、オンオフのメリハリをつけられるよう工夫する。
「iPhoneの集中モードを活用しています。メールやLINEの通知は、基本的には来ないように設定してあります。メールの通知に都度お返事していると、ほかの作業が中断されてしまって。メールチェックを1日1度にして、まとめて返信したほうが時間を効率よく使えます。夜間はおやすみモードにして、時間の設定で通知音が鳴らないようにしています」
電車移動中にコメントを返すなど、スキマ時間も有効活用。
「自分の時間は自分でコントロールする。これが大事です」
コートとシャツは〈ドリス ヴァン ノッテン〉。パンツは〈エトレトウキョウ〉。
『クロワッサン』1072号より