中園ミホさんの模様替えルポ。いつでもスッキリ、片づいて。自然光が部屋中に巡る家を実現。
撮影・三東サイ 文・田村幸子 ヘア&メイク・三上宏幸
大正レトロな建具が、 和モダンな空間の主役。
白と美しい木目を基調にした空間は、シンプルだけど、ぬくもりを感じる。
中園さんの模様替えを7つのキーアイテムでチェックしてみよう。
(1)3年前、階段と洗面所をリペア。珪藻土の壁は美しいが、反省点も。
最初に手がけたのは階段周りの壁と洗面所。
「珪藻土の壁はきれいで気に入りましたが、台風の日にうっかり窓から雨風が入りこみ、拭いたら表面がぽろぽろと落ちて。定期的に掃除をお願いしている人から『掃除しにくい』と不評でした」(中園さん)。
洗面台は凝らずにシンプルな既製品を選んだ。
(2)大正時代の格子戸の裏側は障子張り。昔の知恵が生きている。
大正時代の古民家の格子戸は、今では再現できない精巧な作り。
建築家の古市さんと時代家具・建具の店『古福庵』まで出かけ、中園さんがひと目で惚れこんだ。格子の裏の障子は、取り外しができる。プライバシーを守りながら適度な気配も感じられる優れた機能。
「思いがこもっていそうな年代物の建具を家に入れるのを迷いました。それでも、倉庫で眠っていたものを大切に使えば、建具も喜んでくれるはず、と思い直して。直感で惚れたものなので気持ちも上がります」
以前から持っていた民藝箪笥も調和する。
(3)一目惚れしたステンドグラスの扉。和の雰囲気にモダンさを添えて。
ソーダ水のような緑色のステンドグラスの扉は、和の空間に大正レトロのモダンさをプラス。
格子戸と年代は同じだが、産地が違う。個性がぶつかる建具を調和させたのは「ほかのアイテムは自然素材の色味でシンプルに心がけた」という建築家・古市さんのセンスによるもの。
(4)映画のワンシーンで見かけた、イメージそのままの照明器具。
ある映画のワンシーンで見た、理想の乳白色の照明器具。似た雰囲気のものを探し、ミッドセンチュリーデザインのジョージ・ネルソンの作品に行き着いた。ペンダントライトはダイニングテーブルの上に、フロアランプは琉球畳の横で明かりを灯す。
(5)キッチンの壁と天井の色は、息子の助言で即決。運気も上々。
「東にあるキッチンの壁と天井は、赤か白か青」が風水の決まりごとで中園さんは赤を選んだ。カラーチャートの赤は無数にあり、なかなか決められない。
「迷いに迷っていると、息子が5秒で『これがいい』と即決してくれました」。
タイル張りの壁に憧れたが、掃除のしやすさを優先してパネルタイプにした。油汚れもふき取るだけで落ちるから、ストレスフリー。日本画の顔料のような絶妙な朱赤が目を引くキッチンは、運気も上向きになりそう。
(6)国産の無垢の床材にオイル塗装。琉球畳とのコンビも美しく。
北海道の森林で育つ無垢のタモ材を使ったフローリングは、大工の劉功眞さんが張った。
オイル仕上げの塗装なので、すべすべした床の肌ざわりが心地よく、床暖房や断熱材は入れていないのに冬も温かい。琉球畳と床材の境目が自然でコントラストも美しく、「新しい畳の香りがして、ごろごろすると気持ちいい」と中園さん。
ソファは、ロルフ・ベンツ社のもの。35年前に最初のギャラで買った思い出の品。「何度革を張り換えても手放せない」
(7)仏壇は稀少な屋久杉製。神棚も作りつけてもらった。
仏壇と神棚は南向きに。
亡き父と母の仏壇は、稀少な屋久杉で仕立てられたシンプルなものを購入した。神棚は伊勢神宮で購入した社に合わせて外側の棚を劉さんに作りつけてもらった。
「『日本中の人が笑顔になるような脚本が書けますように』と毎朝祈ります」
『クロワッサン』1065号より