料理の幅が広がる、塩もみ人参と3つのアレンジレシピ【堤人美さんの野菜アレンジ術】。
撮影・黒川ひろみ スタイリング・高島聖子 文・嶌 陽子
人参
斜め薄切りにしてから千切り、がコツ。
一年じゅう手に入る人参も、塩もみすることで料理の幅がぐっと広がる。切る際のポイントがひとつ。人参は真ん中の部分に水分が多く、縦に薄切りして千切りにすると、一部だけ柔らかすぎる状態に。そこで斜めに薄切りにすると、柔らかさが均一になる。
【材料】(料理3〜4回分)
人参4本(600g。斜め薄切りにしてから細切り)
塩小さじ1強(分量の1%)
【作り方】
細切りにした人参をボウルに入れて塩をふり、さっくり混ぜて10分ほどおく。出てきた水分を搾り、保存容器に入れる。
人参と揚げ鱈の甘酢和え
【材料】(2人分)
塩もみ人参150g
鱈2切れ(塩小さじ1/4をふって10分おき、出てきた水気をペーパーで拭く)
こしょう少々
片栗粉・揚げ油各適量
A[酢大さじ2 砂糖大さじ1 塩ひとつまみ]
香菜適量(2株分の葉先を摘む)
【作り方】
1.鱈は4等分に切ってこしょうをふり、薄く片栗粉をまぶして170度の揚げ油でカリッとするまで2~3分揚げ、油を切る。Aは混ぜる。
2.ボウルに1と塩もみ人参を入れてさっくり混ぜ、香菜を混ぜ合わせる。
人参たっぷりのスペイン風オムレツ
【材料】(2〜3人分)
塩もみ人参150g
卵5個
A[粉チーズ大さじ2 パセリのみじん切り大さじ4 こしょう適量]
オリーブ油小さじ4
玉ねぎ1/2個(薄切り)
鮭2切れ(一口大に切ってざるにのせ、塩少々をふり10分おく)
【作り方】
1.卵はよく溶きほぐしAを加え混ぜる。
2.フライパンにオリーブ油小さじ2を熱し、玉ねぎと塩もみ人参を弱めの中火で2~3分ほどよく炒める。端に寄せ、ペーパーで水気を拭いた鮭を入れて両面1分ずつ焼く。
3.1の卵液に2を加え、菜箸などでよく混ぜる。
4.フライパンに残りのオリーブ油を熱し、3を入れて大きく菜箸を動かし、卵液の外側が固まってきたら弱火にし、ふたをして焼き固める(5~6分)。フライパンのふたなどに取ってひっくり返し、さらに3分ほどよく焼く。
5.食べやすい大きさに切る。好みでマヨネーズを添える。
人参のシリシリ
【材料】(2人分)
塩もみ人参150g
ごま油小さじ2
しょうが1かけ(千切り)
ツナ缶小1缶(90g。缶汁ごと)
溶き卵2個分
【作り方】
1.フライパンにごま油としょうがを入れて弱火で熱し、香りが出てきたら塩もみ人参を加えて中火で2分ほど炒める。
2.色鮮やかになったらツナを缶汁ごと大きくほぐしながら加え、さっと炒める。卵を入れて木べらでさっとひと炒めし、器に盛る。
食感、味に深みが出て、超簡単。塩もみ野菜のアレンジ術。
野菜料理がマンネリ化している、買ってきた野菜を余らせてしまう……。そんな人こそ取り入れたいのが、切って塩でもむだけの塩もみ野菜だ。
「塩もみするとかさが減るので、量をたくさん食べられます。アレンジの際に火を通す時間も短くてすむんです」
そう語る堤人美さん。今回は白菜、キャベツ、大根、人参の塩もみとそれぞれのアレンジ料理を教えてくれた。
「加える塩の量は野菜の分量の1パーセント。これがおいしいと思える濃度です。出てきた水気はしっかりと搾るのがコツ。そうすることで傷みにくく、調理もしやすくなります」
塩もみした野菜はガラス製やプラスチック製などの密閉容器に入れると、冷蔵庫で3〜4日は保存可能。使いきれない場合は少し酢をまわしかけるともう1〜2日保存できる。
煮込み、蒸し物、揚げ物、炒め物など、何にでも合う塩もみ野菜。塩でもむことで野菜の旨味が引き出され、食べ慣れたはずの素材が、新鮮な味わいと食感に変わる。
「難しいことは一切なし。ぜひ普段の食事作りに取り入れてみてください」
『クロワッサン』1039号より