禅寺で日々行われる掃除には、心と暮らしの清め方の、学びがある。
撮影・三東サイ 文・大澤はつ江
丁寧に掃除し、みがけば心も体も光ってくる。
掃除で使う道具は拭き掃除用の3種類の布とそれに合わせたバケツ。そして、掃き掃除用のほうきが3種類。これらを掃除する場所によって使い分ける。布は仏壇など、大切な場所を拭き清める「浄巾(じょうきん)」。障子の桟や柱、手すりなどを拭く「中巾(ちゅうきん)」。床などの汚れを拭き取る「雑巾」の3種類。
【岩・樹木】
【掃くのは地面だけではない。樹木や岩の汚れも落とす。】
境内の樹木や岩には落ち葉や枯れ葉などが積もりがち。それを毎朝、竹ぼうきで落とす。樹木には苔が生えていることも多く、放置しておくと樹木の成長を妨げることにも。また、樹皮が剥がれ落ちそうな場合は竹ぼうきで取り去っておくと、新しい樹皮が育ちやすい。掃(はら)った落ち葉はまとめて処理。
【階段】
【ぎゅっと絞った布で、隅々まで拭きあげて清潔に。】
幾度となく人が昇り降りする階段は四隅に埃が溜まりやすい。掃除は布をぎゅっと固く絞り、手すり、ヘリ、踏み板の順で拭いていく。手すりやヘリは中巾。踏み板は雑巾を使う。バケツは布の種類に合わせて専用のものを使うが、その時にバケツの下に雑巾を1枚敷いておくと、水跳ねを気にせずに作業ができる。それぞれのバケツを用意できない時は、1カ所の掃除が終わったら、使用したバケツをきれいに洗い、水を入れ替えて使う。
(1)バケツの下に雑巾を1枚敷いておくと水跳ねが気にならず、床も汚れない。
(2)雑巾などはぎゅっと固く絞って使う。水気が残るとべたついた仕上がりに。
(3)固く絞った中巾で手すりの上部から下部へ。一度すすぎ、ヘリを拭く。
(4)同様に上から、雑巾で踏み板を左から右(逆でも)へと力を込めて拭いていく。
【廊下】
【長ぼうきの穂先で掃き、絞った雑巾で仕上げる。】
ガラス戸や窓を開けて空気を通し、内側から外に向かって長ぼうきの穂先を使って掃く。埃は1カ所に集め、ちり取りなどで取り除く。
次に、ぎゅっと絞った雑巾で廊下の隅などを拭き、最後に木目に沿って全体を拭く。バケツの水は常に取り換え、雑巾をこまめに洗うことが肝心だ。廊下は人の往来が多く、埃が立ちやすいため、汚れが目立つ場所。拭き掃除をしっかり行い、いつも清潔にしておくと通るたびに気持ちがよい。