除菌、殺菌、抗菌などの違いは? 専門家に聞く正しい知識。
撮影・岩本慶三 イラストレーション・山口正児 文・寺田和代
語感が似ているため違いがわかりにくい「菌」を含む熟語。まず、殺菌、消毒、滅菌の3つは薬機法(旧薬事法=医薬品や医薬部外品など体への有効性や安全性を確保する法律)上の用語で、それぞれ定義が異なる、と富士フイルムメディカルシステム事業部の阿部洋史さん。
「殺菌は一つでも菌を殺せれば使える用語。それに対し消毒は〝毒を消す〟と書くとおり、菌を人体に無害になるまで減らすこと。たとえば100万個なら人体に悪影響をもたらすけれど10万個なら大丈夫、という菌の場合、100万を10万にできれば消毒という言葉が使えます」(阿部さん)
滅菌も文字どおり「菌を滅ぼす」。
「菌をゼロにすること。無菌室などが該当します」(阿部さん)
この3つは薬機法をクリアした医薬品や医薬部外品だけが名乗れるため信頼の目安になる。一方、抗菌や除菌は法で規定されない。
「抗菌は菌を増やさないこと。たとえば抗菌加工シャツは様々な方法で臭いの原因菌を増やさないなどの工夫がされている。菌を殺さなくても増やさなければOK」(阿部さん)
除菌は、殺菌とほぼ同じ意味。
「除菌は法律(薬機法)の規制のない〝雑品〟カテゴリーで使われる用語。除菌は効果の程度が製品によって曖昧なのが課題です」(阿部さん)
商品選びの際は表記を確認し、医薬部外品の表示や、アルコール度数などを目安にしよう。
Q.除菌、殺菌、抗菌などの違いは?
【「菌」のつく用語も意味はそれぞれ】
●滅菌:菌を全滅させること
●殺菌:菌を殺す、死滅させること
●消毒:菌やウイルスを無毒化すること(死滅させたり、感染力を失わせたりする)
●除菌:菌を取り除くこと
●抗菌:菌の繁殖を抑えること
法律(薬機法)で規定されない除菌や抗菌の意味、表示上のルールは、製品分野によってそれぞれ異なる。(出典:日本石鹸洗剤工業会)
『クロワッサン』1034号より