「どうしたら瞬時に切り返せるか」、「出遅れた際、どのように伝えれば」、「気持ちの切り替え方は?」と頭を悩ます相談者。
筆者にも似たような経験があります。
いや、夫婦喧嘩ではなく、バラエティー番組の収録の話。
思うように爪痕を残せず、不完全燃焼でトボトボと帰路につくとき、
「一体、どうすりゃよかったのか……」
とため息交じりで全く同じことを自問自答しています。
さて。
相談者が欲しているのは、いわば夫婦喧嘩における“ツッコミ力”のようなものかと。
奇しくも、「夫婦漫才」という言葉がありますが、これは夫婦揃って芸人だということであって、(当たり前ですが)普通のカップルが面白い漫才をすることなど不可能です。
何より、“漫才”であれば、稽古に励めばベストのタイミングで“ビシッと”ツッコむことも可能でしょうが、“喧嘩”の場合、2人の息が合ってしまってはもう終わり。
テンポ感溢れる言い争いは、自ずとヒートアップしていき、知らぬ間に後戻りができない地点まで突っ走ってしまう危険を孕んでいます。
夫婦の間で「もうええわ!」を口にするときは、別離しかありません。
それは、マズい。
噛み合わないくらいがちょうど良いこともあると思うのです。
大体、瞬時に切り返し、理路整然と旦那さんをやり込めたところで、それが和解や事態の好転に供するかと言えば、そんなことはない。
むしろ、逆の結果を招くことの方が多いのではないでしょうか。
とは言え、相談者が日々傷付いているのを我慢することもない。
今後のためにも、言うべきことは言いましょう。
後日、
「ちょっといいかな?」
と改めて夫と対峙し、
「数日前のあの件だけども……」
と正々堂々と蒸し返せばいい。
話し合いの場を持つのは、決して悪いことではありません。
その際は、相手をやり込めよう、やり込めてスッとしよう、ではなく、
「ショックだったから、ああいう言い方はやめて欲しい……」
ともの静かに率直に伝えることを心掛けると良いかもしれません。
この場合、大事なのは、「何があったか」ではなく、相談者が傷付いたという事実。
先方が、少々罪悪感を覚えるような、ヒヤッとしていただけるようなアプローチが有効かと思います。
いずれにせよ、不満が積もって旦那さんに優しく出来なかったり、「1人でモヤモヤ、イライラして、そっけない態度をとってしまう」より余程マシ。
傷付いた心に、
「フーフー!」
と優しく息を吹きかけて貰いましょう。
それでこそ、“夫婦”です……などとベタなオチで締めくくっては、原稿の場合取り返しが付きませんが、相談者は違う。
お幸せに。