リモート出演も悪くないけれど……。│ しまおまほ「マイリトルラジオ」
レギュラーのラジオ番組にリモート出演をするようになって2ヶ月が過ぎた。これまでは放送時間の2時間ほど前に家を出て、電車を乗り継ぎ赤坂へ。テレビを観ながらスタッフとおしゃべりと打ち合わせ、出番の時間になったらスタジオに入って放送に臨んでいた。それが今では出番前に寝室の端っこに踏み台を置き、その上にzoom用のパソコン、そして音声用の携帯電話を乗せてセット完了。小腹が空いた時のために、ちょっとしたおつまみなどを用意して、寝転がりながら出番を待つ。下半身はパジャマ。
出演者の環境によって、音質や音声の遅れなどまちまちだけれど、応急のリモート出演が日常化しつつあるこの頃。出演しているわたしたちは「これからはこのスタイルでもいいんじゃ……」と思い始めている。と、なると。ラジオはどこからでも放送できる。パーソナリティーが帰省した実家から、旅行先から、はたまた入院中のベッドの上から番組の司会……なんてこともありうるかも。スタッフもすべてがリモートになるラジオ番組もそう遠くない未来に現れそう。
でも……局の連帯感は薄まるかもしれない。同じ局でラジオ番組をやってるって、それだけでファミリー感があるもの。交流はなくとも、スタジオにあるそれぞれの番組の備品などで気配を感じていた。それにリモートだと「スタジオ乱入」と言うドッキリもできない。
うーむ、リモートも楽だけれど、早くスタジオに行きたいなあ。
しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。
『クロワッサン』1023号より
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