くらし

『禅ってなんだろう? あなたと知りたい身心を調えるおしえ』著者、石井清純さんインタビュー。

  • 撮影・黒川ひろみ(本・著者) 

「禅のおしえは、徹底的なポジティブ思考」

「世界で注目されるのはなぜ?」「悟るとは?」。直球ながら深い質問にわかりやすく答える。禅を体系的に学べる入門書。 平凡社 1,400円
石井清純(いしい・きよずみ)さん●1958年、東京生まれ。駒澤大学仏教学部教授、禅研究所所長。専門は禅思想研究。禅学研究の国際交流も積極的に行っている。著書に『禅問答入門』『構築された仏教思想 道元―仏であるがゆえに坐す』など。

禅ってなんだろう? 改めて聞かれると、一言ではとても表せない問いかけであると気づく。

「禅というものに固定的なイメージを持っている方は多いのですが、具体的にどういうものなのかはなかなか語り得ないと思うんです」

と、石井清純さんは言う。祖父が曹洞宗(そうとうしゅう)の住職だったため、幼い頃から寺の行事などに親しんできた石井さん。長じて仏教学を学び、大学教授として教壇に立って、禅の成り立ちから海外での受け止められ方などを学生たちに伝えてきた。そうした禅の知識が、この本には詰まっている。が、決して学術書のように難解なものではない。

実はこの本は「中学生の質問箱」という、世の中の知っているつもりでよくわからないことを解き明かすシリーズの中の一冊なのだ。

「中学生には少し難しいところもあるかな、と。ただ基礎知識として入りやすいようにと考え、さらにかなり突っ込んだ内容になっています。一般の人がちょっと疑問に思っているところも網羅して」

グローバルに受け容れられる、禅のおしえの根底にあるもの。

禅と聞いて思い浮かべるのは、寺院建築や庭園、茶道をはじめ、今や海外でも話題のマインドフルネスの原点であること、など人によってそれぞれ。それらの知識を統合した体系として、わかりやすく一問一答の形で辿っていく。その上で「禅というのは基本的に生き方の模索。個々がどう生きるか模索するなかで道筋を示していくもの」だと、石井さんは言う。

そして今や海外でも、禅のおしえに共感し、学ぶ人が増えている。

「宗教性が見えないのがいいんだと思います。一神教の宗教的なあり方に疑問を持ち、それ以外のものを求めたときに禅に辿り着く。その精神性、思想哲学に引かれているのでは。それも、ただ思考の世界だけでなく、現実の世界に落とし込もうという禅の考え方がとっつきやすいのだと思います」

と語るように、どう社会と関わり、日常にその考え方を活用していくのかということも、禅のひとつの側面。一方の軸になるのが、坐禅である。思考するだけでなく、呼吸や姿勢を正し坐禅しながら身体と精神を調えていく。今の時代、グローバルに禅が求められる理由がここにもありそうだ。

禅の基本的なおしえや歴史を知って、もし、もっとその先の世界を知りたくなったら?

「まず坐ってみてはいかがでしょう。1人で坐るよりも、坐禅会に参加されることをおすすめします。いつも坐禅会のあとに家で1人でやってみてください、と言うんです。つらさがぜんぜん違いますよ、と。私も家で練習のために坐ろうとしたことがあるのですが、なかなかできない。でもみんなで坐ると、40分があっという間なんです」

よりよく生きるための実践的な知恵と、科学的にも研究がなされ始めた坐禅という修養と。その両輪のおしえをもつ禅。古くて、新しい。今こそ、改めてきちんと向き合い学びたいおしえだ。

『クロワッサン』1021号より

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