「7~8年前、当時出演していた名古屋の放送局の旅番組で三重の山中の牧場にたどり着いたんです。そこでソフトクリームや牛乳を頂いて、もちろんそれも美味しかったのですが、搾りたての生乳で作られたバターが自然な甘みとコクがあって濃厚で……。その味が忘れられず、取り寄せて常備するようになりました。バターはもともと好きで各地の名品を食べましたが、今ではこれ一辺倒。朝食のトーストにはほかに何もつけません!」
照英さんが熱く語るのは、三重は大内山、ミルクランド 糸川販売店で売られている〈大内山(おおうちやま)手造りバター〉。同番組で知り合った、近隣にある大内山動物園の園長もたびたび贈ってくれるそう。
「園長さんに僕が犬好きなことを話したら、動物園で飼っている大型犬のレオンベルガーとさんざん遊ばせてくれたんです。でも、その犬は残念ながら翌年死んでしまった。知らせを聞いて園長にすぐ電話をしたら“おまえは本当に優しいやつだな。それにあの犬をあんなに長時間なで続けたのはおまえだけだよ”と言ってくれて。以来、交流が続いているんです」
ロケ番組が好きで、一部の離島を除きほぼ日本全国を巡った照英さん。依頼があればスケジュールを調整して出演する。
「こういう仕事をしているのだから、いろんな世界に肌で触れる機会を多く作りたいんです。その意味でロケ番組は人や食材との出会いの宝庫。このバターのように直接行かないと見つけられない食材がたくさんあるんですよね。この前知った、鹿児島・枕崎産のモーツァルトを聴かせて熟成させる鰹節も面白かったなあ」
旅先で出合った食材はジャンル別にファイリングしてあるという。
「自分が“これは!”と思ったら、まず家への手みやげにして女房に食べてもらう。そこで彼女が評価したらいろんな人に薦めるようにしています(笑)」