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医療費控除や扶養の範囲など、意外と知らない税金の基本Q&A。

収入に対してかかる所得税や住民税、確定申告のときにできる医療費控除、返礼品が人気のふるさと納税、扶養の範囲で働くパートの税金など、身近な税金についての疑問にわかりやすくお答えします! 最低限の税金の知識をファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんから学んでおきましょう。

イラストレーション・木下綾乃 文・生島典子

Q3.医療費控除って面倒なイメージが……。

A.手続きをすると、所得税と住民税の額が下がります。

1年間で10万円を超える医療費(※)を支払ったら、翌年の確定申告で医療費控除の手続きを。入院・手術、歯の治療、出産などは、対象となります。医療費控除は、(あ)家族全員が払った1年間の医療費の総額と、(い)保険などで補塡される金額がわかれば申告できます。下の[図表2]で計算した医療費控除の金額は、の[図表1]の(B)所得控除に入れられるので、そのぶん課税所得の金額が減って、所得税と住民税の額が下がります。

医療費控除の対象になるもの

● 治療費、入院費
● 治療のための薬代
● 通院のための交通費
● 治療のために必要な医療器具購入費
● 出産時の分娩代
● 入院時の部屋代、食事代など

[図表2]医療費控除の申告に必要なのは、(あ)と(い) の金額。

医療費控除や扶養の範囲など、意外と知らない税金の基本Q&A。

(1)生計を一にする家族全員が支払った1年間の医療費などのレシートを元に計算。
(2)保険金や公的な補助金など、受け取った分を引く。
(3)[図表1]の(B)の部分に入れられる。この金額が戻ってくるわけではない。

※総所得が200万円未満の場合は、その5%の額。

Q4.ふるさと納税はなぜ人気?

A.2000円の負担で返礼品がもらえるからです。

寄附金3万円に対して、 返礼品を受け取れる。←2000円でこの分が 得られたことに……。
寄附金3万円に対して、 返礼品を受け取れる。←2000円でこの分が 得られたことに……。

ふるさと納税は、2000円の自己負担でお米や牛肉など、地方の特産品が返礼品としてもらえると人気の制度です。都道府県や市区町村に対して2000円を超える寄附をした場合は、所得税の寄附金控除に加えて住民税の税額控除があるため、おトクな制度となっています。

ただし、ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告をしないと、2000円を超える部分の控除を受けることができません。また、納める予定の住民税、所得税、復興特別所得税の金額までしか軽減されません。

[図表3]ふるさと納税の仕組み(3万円寄附をした場合)。

医療費控除や扶養の範囲など、意外と知らない税金の基本Q&A。

Q5.パートの場合の税金と社会保険料はどうなる?

A.意識すべきは、社会保険料を払うようになる106万円と130万円の壁。

夫の扶養の範囲でパート勤務をする場合、年収が100万円を超えると住民税、103万円を超えると所得税の課税対象になります。同時に、103万円から配偶者控除が配偶者特別控除に変わり(控除額は変わらない)、150万円を超えると控除額が段階的に下がります。

パートの場合、手取り収入に大きく影響するのは、社会保険料を自分で払うようになる「壁」です。勤務先が従業員501人以上の大企業なら、106万円以上で会社の社会保険に加入。それ以外の勤務先なら、130万円以上になると会社の社会保険か、自分で国民健康保険、国民年金に加入することになります。社会保険料を払うと一時的に負担は増えますが、会社の社会保険に入ったほうが、病気のときの手当も出るし、将来受け取る年金額が増えるなどのメリットがあります。社会保険料の負担で減った手取りは、年収が20万〜30万円上がれば社会保険加入前の給与水準に戻ります。

[図表4]扶養の範囲内でパートをするときに注意する壁は?

【 従業員501人以上の大企業で働く場合 】

(1)所得税、住民税の課税対象になる (2)社会保険料を負担するようになる (3)手取り収入が以前の…

(1)所得税、住民税の課税対象になる
(2)社会保険料を負担するようになる
(3)手取り収入が以前の水準に
(4)配偶者特別控除額が段階的に下がる

【 上記以外の勤務先で働く場合 】

(1)所得税、住民税の課税対象になる (2)社会保険料を負担するようになる (3)配偶者特別控除額が…

(1)所得税、住民税の課税対象になる
(2)社会保険料を負担するようになる
(3)配偶者特別控除額が段階的に下がる
(4)手取り収入が以前の水準に

ポイント
● 100万円を超えると住民税、103万円を超えると所得税の課税対象になる。
● 大企業は106万円、それ以外は130万円以上で年金保険料や健康保険料などの社会保険料を負担する。
● 150万円を超えると、配偶者特別控除額が段階的に下がる。

医療費控除や扶養の範囲など、意外と知らない税金の基本Q&A。

畠中雅子(はたなか・まさこ)さん●ファイナンシャルプランナー。新聞、雑誌などのメディアに多数の連載を持つほか、講演・相談業務を行う。『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』(ぱる出版)など、著書多数。

『クロワッサン』1014号より

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