礼儀作法というのは、相手によっても受け取りかたが違うため、どうするのがベストか、判断がむずかしいもの。本屋にマナー本が絶えないように、多くの人が正解を求めて悩み続けているテーマのひとつといえそうです。
そこで、これまで何度か紹介している家事評論家・西川勢津子さんの連載「生活の技術」から、今回は返礼のマナーをピックアップ。40年以上前の記事だけに変わっているところもあるのでは、と思いつつ読んでみました。
まずお返しには、いただきっぱなしでよいもの、いただきものに見合うお返しが必要なもの、きっちりせずともちょっと返しておきたいものがあり、<ときと場合によって千差万別>だと述べます。
香典や結婚祝いなどは一般にお返しが必要とされますが、それもまた、ときと場合によりけり。香典にしても働き盛りの人が亡くなった場合はお礼状だけ、もしくは<有意義なところに寄付をして、返礼に替えるのもスマートなやり方>とのこと。結婚祝いなどの吉事も、家に招いてごちそうすればよし、ごちそうしない場合は軽いお返しに留めると、かなり柔軟な対応を提案しています。
突き詰めていけば、やはり返礼の鉄則は、今回の名言にある「センスとタイミング」に尽きるといえます。
早すぎず、遅すぎず、ひと呼吸をおいて、相手の負担にならないお返しをする。それがうまくできれば悩まないのですが……。やはり杓子定規に考えず、自分なりに気持ちを形にすることが大事だという、基本の心構えを念押しされた結果になりました。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。