「免許返納」という高齢者の新常識。【尾木直樹さん】
話題のニュースから、うっかり勘違いの作法まで。大人の常識をアップデートする、珠玉のトピックを集めました。教育評論家の尾木直樹さんに伺います。
撮影・青木和義、黒川ひろみ、谷 尚樹 文・薄葉亜希子
72歳で運転免許を返納した教育評論家の尾木直樹さん。きっかけは3年前、高齢者の事故が続いた折、テレビ番組の企画でテストを受けたこと。ブレーキの遅さや車庫入れ、右折の見落としの3つに引っかかり、以来、運転を控えていたという。
「“いつかはクラウンに”というCMがあるほど私たちは車への憧れで頑張ってきた世代。返納はキャリアを失うような喪失感なんだろうなと予想していました。が、これで事故を起こさないという安心感のほうが強かったですね」
返納後にもらえる免許証そっくりの運転経歴証明書は、「まるで卒業証書をもらった気分。しかも自治体ごとに特典があり、提示すると食事や買い物などが割引に。一緒にいる家族まで割引になるのもうれしいですし、出かける機会も増えました。車を卒業して新しいワクワク感に出合えていますよ」。
70歳を超えると視野は狭くなる。
幼児の視野は90度。そのため「右見て左見て」の教育が行われ、そこから徐々に広くなり免許取得ができる年齢では200度になる。しかし、60歳を過ぎると動体視力が落ち、70歳を過ぎると視野は150度になるといわれる。
尾木直樹(おぎ・なおき)さん
教育評論家、法政大学名誉教授。40年以上におよぶ教育現場での経験をもとに、子ども主役の教育論を展開。「尾木ママ」として幅広い層に親しまれ、多くのメディアで引っ張りだこ。
『クロワッサン』1007号より
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