電車、トイレ、レストラン…。アップデート必須の公共マナー。
マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を伺いました。
イラストレーション・五月女ケイ子
【エスカレーター】律儀に片側を空けて並んでいたけど……。
最近、駅などで“エスカレーターは2列で並んで”というアナウンスを耳にする機会が増えた。
「本来は2列で並ぶものですし、1列で並ぶよりも全員がスムーズに移動できると言われているのに、いつの間にか片側に寄るというマナーが定着し、両側に立っていたら“マナー違反”という風潮まで浸透してしまって……。本当に急いでいるのならできるだけ階段を使うようにしましょう。空いている片側を歩いたり駆け上がったりして事故を起こしては本末転倒です」
【エレベーター】“ボタン係”への感謝を さらりと伝えてみて。
エレベーターに最初に乗ったから、“ボタン係”として最後まで扉を開けて待ってくれていた人に、誰ひとりとしてお礼を言わず、立ち去っていく……。
「もちろんお礼は義務ではありませんが、自分のためにわざわざ扉を開けておいてくれた人に対し、軽い会釈をするくらいの気遣いは必要。そうすれば誰もが気持ちよく乗れます。ちなみに、エレベーターは密閉空間なので、必要以上に大きな声でのおしゃべりも避けましょう」
【レストラン】 撮影大会に夢中になりすぎて雰囲気をぶち壊し。
SNSで“映える”写真を投稿するため、最近は、そこかしこで撮影大会が繰り広げられている。
「写真を撮ることが目的になりすぎないよう注意してくださいね。静かなレストランでシャッター音が鳴り響いていると気分を害する人もいるでしょうし、店員さんにも迷惑がかかるかもしれません。撮影自体を禁止しているお店もあるので、撮る前に一度確認を取るのが丁寧です。ちなみに私は確認後に軽く会釈をしてから、無音カメラで1〜2枚だけ撮影するようにしています。せっかくの美味しい料理は、運ばれてきたらすぐに食べるのが一番ですからね」
【お手洗い】 洗面台の水滴は一滴たりとも残さないで……!
外出先でトイレを済ませ、手を洗おうと洗面台に向かうと台の上があまりにも水びたし!
「企業のマナー講習をする際、必ず女子トイレをチェックしているのですが、大抵洗面台は濡れていて、髪の毛も散乱しています。せっかく学んだビジネスマナーも台無しですね。最近は、紙タオルが減ってジェットタオルが増えたことで、濡れていてもそのまま放置されてしまいがち。たとえ自分が飛ばした水しぶきでなくても、手持ちのティッシュペーパーなどできれいに拭いておきましょう。そうすれば、自分も、次の人も気持ちよく使えるはずです」
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