マナーデザイナーに聞いた、押さえておきたいマナーのツボ
マナーを知っていようといまいと、人生の儀式はおかまいなしにやってくる。そんな「いざ」に備える、大人の心得。多方面でマナーの指導をしている岩下宣子さんに話を聞きました。
撮影・青木和義、谷 尚樹(岩下さん) スタイリング・高島聖子 文・黒澤 彩 イラストレーション・クレメンス・メッツラー
贈るも、贈られるも、お金にまつわる、機微を知っておく。
たとえば結婚祝いなら、今は3万円が相場とされている。でも、世間の相場はあくまでも相場にすぎません、と岩下さん。
「ポイントは、相手に同じことがあったときに同程度の金額を包むということ。今の人にはあまりそういう感覚がないかもしれませんが、本来の祝儀とは、よいご縁が続くようにする人間関係のキャッチボールなのです。だから身の丈が大事。見栄を張る必要はありません」
多ければいいのではなく、逆に相手に同じ負担を強いることにもなる、と覚えておこう。
手みやげの達人は、日頃のリサーチを欠かさない。
「贈りものも手みやげも、喜んでいただけなければ意味がありません。そこでものを言うのが、日頃の情報収集です」
相手が甘いものを好きなのか左党なのかはもちろん、あんこの和菓子好きといったところまで具体的に掘り下げる。歯の治療中ならおせんべいは控えるなど、健康状態にも配慮を。
「また相手に余計な負担をかけぬよう、こちらから贈るときにも高価なものは避けましょう」
手みやげは、相手といい時間を過ごすための大切なツール、話題にもできるものが好ましい。
01 / 03