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交渉し、ともに議論し、共同の決定を下さなければならない――トーマス・ゴードン(児童精神療法医)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、親子の対話術にスポットを当てます。

文・澁川祐子

1978年8月25日号「ゴードン博士の親と子の対話術」より
1978年8月25日号「ゴードン博士の親と子の対話術」より

交渉し、ともに議論し、共同の決定を下さなければならない――トーマス・ゴードン(児童精神療法医)

フランス『ELLE』誌から、子育てに関する記事を掲載。トーマス・ゴードン(一般に「トマス・ゴードン」と表記されますが、原文ママにしています)氏(1918-2002)は、アメリカの臨床心理学者です。日本でも『親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』、『ゴードン博士の人間関係をよくする本―自分を活かす相手を活かす』(ともに大和書房)などの翻訳書が多数出版されています。

記事は、親子間の力関係を取り除き、互いの要求を尊重しあうための実践的な対話法を紹介しています。

話が食い違うときに大切なのは、親子で一緒に考え、解決すること。一方の言い分が勝ち、もう一方の言い分が負けるのではなく、その間に交渉の段階を設けることを提案しています。それが今回の名言に挙げた「交渉し、ともに議論し、共同の決定を下す」ということです。

たとえば雨が降っていて、親が「レインコートを着なさい」と言っても、子どもは「レインコートが嫌いだ」と言って言うことを聞かない。そんなときは「あなたが風邪を引くんじゃないかと思って」とレインコートの必要性を言う。それでも「着たくない」と主張するなら、その着たくない理由を探る。そこで「みんなはジャンパーを着ているんだ」となれば、「お父さんのジャンパーを借りたら」という着地点が見出せる。どちらかが勝つこともなく、お互いに納得がいく決定が下せるというわけです。

こうして読むと、なにも子どもだけにかぎらず、大人同士でも有効な対話法。結局相手が子どもだろうが、大人だろうが、人としての接し方の肝は同じということでしょう。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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