くらし

何が何でも床にモノを置かない、プロの暮らしから学ぶ収納術。

  • 撮影・柳原久子 文・一澤ひらり

【掟1】生活のあらゆるモノには帰る場所がある。〜シューズクローゼット〜

ここはいわば須藤家の心臓部。

「リビングに収納場所がないので、家族で使うものはここにまとめて収納しています。常備薬、ティッシュ、工具類、娘の学校用品などを、100円ショップや無印良品などで買ったカゴやケースを使い、取り出しやすさを心がけます」

白で統一された収納ケースがきれいに並べられ、すべてラベリングされているのでひと目でわかる。

「使ったらここに戻すだけなので、娘も夫も置きっぱなしにはしません。よく使うものは取り出しやすい腰の高さぐらいの所に置いています。娘が使うものは娘に合わせた高さに。工夫したのは、梱包セット、お墓参りセット、旅行セットなど、使用目的に合わせてひとまとめにしたこと。必要な時はそのボックスを取り出すだけです」

もともとはシューズクローゼットの収納空間。使用頻度で置く位置を決め、どこに何があるかがすぐわかる。
小さめの必需品は引き出しケースに。無印良品の小物用ケースには、電池、メジャー、S字フック、結束バンドなど細々としたものが入っている。
CD&DVDは視聴覚コーナーにまとめて。見たり、聴いたりしたい時はここでチョイス。須藤さんのCDはケースを外し、ディスクのみを収納ケースに。
ファイルボックスは統一感が大事。家電の取扱説明書や住宅機器のカタログ、料理本などを、IKEAの紙製ファイルボックスで保管している。
コード類は仕切りボックスで一目瞭然。ぐちゃぐちゃになりがちなコード類も、一つ一つ分けて仕切りボックスに入れてあるのでわかりやすい。

【掟2】シンクやコンロ周りにも何が何でもモノを置かない。〜キッチン〜

キッチン、ことにコンロ周辺は料理中に油が飛んだり、煮汁がはねたり、汚れやすい場所。

「便利なので、脇に調味料を置いている人も多いと思いますが、油でベトついて毎日の拭き掃除が大変です。出しっぱなしにせず何も置かなければ、調味料を持ち上げていちいち拭く手間なく、全体をササッと拭き上げればいいだけです。何のストレスもありません」

そのとおり須藤家のキッチンには何も置かれず、すっきりとして清潔感にあふれている。

「シンクやコンロ周りに出ているものを収納してゼロにすると、毎日の掃除がすごく楽になります。これはとても大切なことで、面倒くさくなることはできるだけ取り除きましょう。何もないキッチンを掃除する気持ちよさといったら!」

最初だけはしっかり片づけをしなくてはならないが、後は掃除の煩わしさから解放されて家事がスムーズになり、時短にもなる。

カウンター式のキッチン。作り付けの戸棚は扉を閉じてしまうと、印象が驚くほどスッキリ。
収納サイズに合わせて、調理器具を選ぶ。果汁搾り器や包丁のシャープナーは重ねるなど収納に苦心したが、小さめサイズにしたらぴったり収まった。
発想の転換! そうめんや竹串を意外なものに収めて。そうめんは100円ショップの粘土ケースに、竹串はめがねケースに入れたらジャストサイズ。
食品庫を兼ねた家事室は、余裕をもたせて見やすく。カゴやケースを使って仕分けし、棚にぎっしり並べずに少し間をあけて置くと、圧迫感なく空間にゆとりが。
シンク周りに何も置かない。すべてを収納スペースに。三角コーナーも水切りカゴも使わず、洗い物は吸水クロスに置くだけ。調理道具や食器はきちんと分類され、すべて引き出しに収納。

【掟3】洗面スペースは、モノを置かないホテルのように。〜バス&トイレ〜

「私の理想はホテルのように清潔でクリーンな水回りなんです。そうはいっても洗面所は朝の忙しい時に使うものが集中しているため、ごちゃごちゃになりがちなので、個人別に収納ボックスに入れています。すぐ取り出せてパッと戻せるので便利ですよ」

家族が頻繁に使う洗面所は、それぞれが使いやすいように工夫することが大切だ。洗面所が脱衣所を兼ねていたり、洗濯機を置いていることも考慮する。

「家族がここで着替えをするので、洗面台下の収納にはランドリーバスケットや洗濯ハンガーを収めています。洗濯洗剤は背面の観音開きの戸棚、かがまずに届くところにあるので出しやすいです」

一見何もないように見える洗面所も、ベストの場所にベストのものを置くために、しっかりとカテゴリー分けされて収まっている。見せない収納の理想美がここに。

詰め替えボトルを白に統一、色の氾濫がなくすっきり。洗面台の背面に掃除用品や洗剤のストックなどを収納。ぎっしり詰め込まず、色の種類も限定。
家族がよく使う洗面所は、各人が使いやすいように。洗面台の鏡裏には、個人別に使うものを分けてケースに収める。洗面台の下には洗濯用品などを収納。
収納棚の奥にドアのないトイレもあるが、すべてが一体化して清々しい。

【掟4】脱いだものを床に置かない。〜ウォークインクローゼット〜

須藤さんはシャツやデニムなどまだ洗濯しなくていい服、毎日着ているパジャマなどは、それぞれ一時保管場所を設けている。

「ベッド近くの収納ボックスに、パジャマと部屋着を入れています。夫のふだん着はクローゼットの一番手前のケースに置き場所を作っています。服を脱ぎっぱなしや置きっぱなしにする人は、このような一時的にしまえるスペースがないからだと思うんですよね」

夫婦用のウォークインクローゼットは左側がハンガー収納、右側はケース収納になっている。

「オールシーズン着られる服を基本に、『クローゼットを満タンにしない』というルールですっきり!」

左手前は夫の服スペース。右側は無印良品の不燃布のケースを主に使用。
無印良品のケースや工具箱をフル活用。からまったり、散逸しやすいアクセサリーは、無印良品の引き出しケースにアクセサリーケースを入れて収納。隣のスチール工具箱にはハサミや文具、メジャーなどをディスプレイ感覚で。
パジャマや部屋着はベッドサイドに収納。起きたらすぐ着替えられるように収納ボックスを設置。10歳の娘と夫婦それぞれが使用できるよう3段になっていて、出し入れしやすい。
夫の日常着の一時的な置き場所。夫がすでに袖を通し、まだ洗濯をしないふだん着は、クローゼット左手前にある衣装ケースに。脱ぎっぱなしは須藤家ではありえない。

須藤昌子(すどう・まさこ)さん●整理収納コンサルタント。整理収納スタイリングレッスン、コラム執筆など多方面で活躍中。著書に『リバウンドしない収納はどっち?』(KADOKAWA)など。

『クロワッサン』1001号より

『クロワッサン』1001号より

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