Vol.37 緑内障と診断され、手術を勧められています。【40歳からのからだ塾WEB版】
緑内障は、40歳ぐらいから増えていく目の疾患と言われていますから、誰にとっても他人事ではありません。手術が必要とされるのは、どのような場合なのか、ほかの治療法はないのかなども気になるところですよね。専門医に詳しく聞いてきました。「目には自信あり」という人も、もし自分がなったら……と考えて読み進めてみてください。
文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
一般的な緑内障の治療方針
「通常は、目薬から治療を始めますが、医師が想定した以上に目薬では眼圧が下がらなかった場合には、手術を提案されることがあります。現状のままでは緑内障が進む懸念があるためです」と富田さん。
眼圧の正常範囲は一つの目安であり、視神経がどれくらいの眼圧に耐えられるかは、患者の視神経の強さなどにより違ってくるのだそう。実際、眼圧が高めでも緑内障にならない人もいれば、眼圧は正常なのに視神経が障害を受ける人もいます。それは、この個人差のためなのです。
それでも不安なときにはセカンドオピニオン?
漢方薬では治せないの?
緑内障の治療についてまとめると
●放置は厳禁、早期発見・早期治療が重要
●緑内障の治療の目的は視野を守ること
●眼圧を下げ、これ以上進行しないようにする治療がメイン
●どこまで眼圧を下げるかという目標値は、個々の患者さんの病状やリスク因子などによって異なる
この4点が大事なポイントになります。
とはいえ、手術となるとなかなか踏み切れないという人もいるでしょう。そんなとき、何かほかにできることはあるのか聞いてみました。 「最近では、新しい緑内障の手術として、小さい傷口で済む『MIGS』という手術が登場しています。主治医に相談してみてもよいでしょう」と富田さん。 または、セカンドオピニオンを受けるという方法もあります。 「情報提供がないまま主治医を変更すると治療が振り出しに戻ってしまうので、他の医師から意見を聞くというセカンドオピニオン外来への受診はとてもよい選択肢です」(富田さん)
また、漢方薬など、手術以外の選択肢はないのかどうかについては、「漢方薬については、使うことで緑内障が抑制されたというデータはありません。血行改善もよいことですが、それだけで緑内障は食い止められません。くれぐれも、自己判断で治療をやめないでください」とのことでした。
緑内障の治療では、進行を抑えるために治療をじっくりと継続していくことが重要になります。それだけに、治療法の選択にあたり、患者自身が納得しているかどうかは大きなポイントになります。治療中に疑問点が出てきたら、どんなことでも医師や薬剤師に相談してみましょう。病状や治療法について、しっかりと理解したうえで治療を受けたいものですね。
富田剛司さん 東邦大学医療センター大橋病院眼科教授、診療部長
とみた・ごうじ●岐阜大学医学部卒業。米国留学、東京大学医学部眼科助教授などを経て現職。日本緑内障学会理事。専門分野は緑内障で学術活動や研究にも力を注いでいる。
※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。
ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!
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