Vol.32 何をしても疲れがとれません。【40歳からのからだ塾WEB版】
受診の目安は?
診断では「慢性疲労症候群」との鑑別が重要
では、どのようなときに病院を受診したらよいのでしょうか。
「一般的には、休んでも疲れがとれない、運動や気分転換を試すとかえって疲れてしまうなど、よかれと思ってやることがうまくいかなかったら要注意。それが受診の目安です」(村上さん)。
ただし、疲労を感じる病気は数多くあり、貧血や甲状腺疾患、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など内科的疾患が原因で起こる〝慢性疲労〟もあります。よって、まずは全身の検査も可能な総合内科や心療内科を受診すること。受診先は、日本心療内科学会や日本疲労学会のホームページで探すことができます。
「内科の検査でがんや甲状腺機能異常、糖尿病といった病気を除外し、異常が見つからなければ症状をもとに治療を受けるというステップを踏むことが大切。そして、慢性疲労症候群であるなしにかかわらず、適切な治療が必要です」(村上さん)
また、慢性疲労症候群は、うつ病などの精神疾患や自律神経失調症などと症状が似ているため、見分けることが難しい場合も。「慢性疲労症候群を専門としている医師の下で、きちんとした診断基準により評価することが重要です」(村上さん)。
予防法や治療法は?
慢性疲労症候群は、完治が難しい病気で、治療には数年かかるともいわれています。とはいえ、正しい診断と適切な治療を受けることで、症状を軽くすることができます。
●治療をしっかり継続
働く人の場合、家庭の問題やリストラ、昇進の悩みなど、ある種の挫折経験がきっかけとなり、慢性疲労が重症化することが多いそう。よって、心療内科での治療は、「抗不安薬や抗うつ薬、自律神経調整薬、漢方薬などを組み合わせて使いながら、ストレスの原因となっている環境や患者さんのパーソナリティーの問題なども考慮に入れた心身医学的な治療を行います」と村上さん。ケースにより、カウンセリングや認知行動療法などの心理療法なども取り入れられます。焦らずに辛抱強く治療を続けていくことが大切です。
慢性疲労症候群の治療法
資料提供:村上正人