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お湯に浸かって流すだけで、潤い美肌になるって本当ですか?

医師の高橋洋子さんは、入浴時に石鹼を使わない「お湯だけ洗い」を続け、肌の潤いと清潔を保っている。そのメカニズムを聞いた。

撮影・岩本慶三 文・後藤真子 イラストレーション・mollydomon

お湯だけなんて不潔じゃない? ニオイは? 素朴な疑問Q&A。

汗は臭い、汚いもの?

No.
全身の汗腺「エクリン腺」から出る汗は無色透明でサラサラしていて、ニオイもない。成分の99〜99.5%は水、残りの0.5〜1%は塩化ナトリウムや尿素、硝酸など。例外は腋の下などの「アポクリン腺」から出る汗。こちらは放置していると皮膚に付着した細菌によって分解され臭うようになる。ニオイを防ぐには、汗を洗い流したり、タオルで拭き取ること。

皮脂はお湯だけでは落ちない?

No.
汗も皮脂も、皮膚から出る物質はすべてお湯で洗い落とせるが、化粧品などの油性の汚れが付着した皮脂は落とせない。メイクをしたら、「オイルはオイルで落とす」と考え、化粧品の油分を、オイル配合のクレンジング剤などで洗い落とす必要がある。ただし、1日1回程度に。

尿や便はお湯だけでは洗い落とせない?

問題ない程度には落ちる。
排泄器のまわりに微量に残った尿や便は、お湯で洗い流すだけでもほぼ落ちる。正確には少し残ってしまうが、皮膚が健康で、菌のバランスがとれていれば、常在菌が悪い菌を寄せ付けない働きをしてくれるので問題ない。

とはいえ、体のなかでもデリケートな部分なので、気になるなら石鹼などで洗ってもよい。ただし、過度に洗うと、せっかくの常在菌がダメージを受け、大腸菌をはじめとする病原菌の繁殖を許すことにもなりかねないのを覚えておきたい。また、石鹼などを使った場合には、それをしっかり洗い流すことも忘れずに。

肌の表面の垢や角質はタオルでゴシゴシ洗って落とすべき?

No.
角質は15〜20もの層になっている。それが0.02㎜の中に積み重なっていて、実は外側から自然にはがれていくもの。だから、無理にはがす必要はない。無理にはがすと角質のバリアが破壊され、皮膚の「防水システム」が機能しなくなって水分が蒸散、肌を乾燥させる原因にもなる。

皮脂と角質は「防水システム」。皮脂や角質を落としすぎると、常在菌もダメージを受け肌トラブルの原因に。
皮脂と角質は「防水システム」。皮脂や角質を落としすぎると、常在菌もダメージを受け肌トラブルの原因に。

脂症の人は石鹼を使って脂を落とさないといけない?

残しておいても大丈夫。
人間の体は、「失ったものを補おう」とする性質がある。皮脂の多い人が頑張って皮脂を洗い落とすと、体のほうも頑張って、さらに皮脂を分泌する。過剰に落とせば皮脂腺が発達し、毛穴が大きくなってしまうなど、肌のトラブルがひどくなることも。

足が臭う時は殺菌作用のある石鹼を使うべき?

No.
菌のバランスが崩れるのが足が臭くなる原因のひとつなので、バランスを戻すことが大切。強い洗浄剤やタオルを使ってゴシゴシ洗うと、常在菌にダメージを与え、病原菌を含む通過菌を増やしてしまうおそれがある。こんな時こそ、こまめな「お湯だけ洗い」がおすすめ。当然ながら靴下は毎日取り替えること。

高橋洋子(たかはし・ようこ)●医学博士。東京・国分寺市の「みたにアイクリニック」院長。著書に『「お湯だけ洗い」であなたの肌がよみがえる!』(サンマーク出版)ほか。

『クロワッサン』962号より

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