【後編】翌朝に疲れを残さない、胃にも腸にもやさしい献立。
撮影・岩本慶三 文・大澤はつ江
腸内環境を整え、疲労回復に最適。
玉ねぎに多く含まれるオリゴ糖は腸内環境を整え、栄養の吸収を促す。また玉ねぎの香り成分、硫化アリルは糖質の代謝を促すビタミンB₁の吸収を助ける作用がある。玉ねぎと共に煮た豚モモ肉も、ビタミンB₁を含む食材。脂肪分が少ないので胃への負担も少ない。豚モモ肉の代わりに鶏ムネ肉にすれば親子丼の具になる。長芋は栄養価が高く、滋養強壮、消化を促進させ、新陳代謝をアップするといわれる食材。ネバネバ成分が腸内環境を整える。梅干しのクエン酸と和えれば食欲増進、疲労回復に効果的な一品に。
【玉ねぎと豚モモ肉の卵とじ】
材料(1人分) 玉ねぎ¼個、豚モモ肉50g、だし汁150㎖、醤油小匙2、卵1個、粉山椒少々
作り方 ①玉ねぎは縦5㎜幅にスライス、豚モモ肉は3㎝に切る。②鍋にだし汁、玉ねぎ、豚モモ肉を入れ火にかける。豚肉に火が通ったら醤油を加えひと煮立ちさせる。割りほぐした卵を回しかけ蓋をする。卵が半熟状になったら火を止めて器に盛り、粉山椒を振る。
【長芋の酢の物】
材料(1人分) 長芋60g、梅干し5g、焼き海苔¹⁄₆枚、酢小匙1
作り方 ①長芋の皮をむき、棒状に切ったら賽の目にする。②ボウルに種を取って叩いた梅干し、酢、①を入れて全体を混ぜる。器に盛り、ちぎった海苔を散らす。
【蕪と蕪の葉の味噌汁】
材料(1人分) 小蕪1個、蕪の葉20g、だし汁200㎖、味噌10g
作り方 ①蕪の葉を細かく刻む。蕪は皮をむき、いちょう切りにする。②鍋にだし汁、蕪を入れて火にかけ、沸騰したら味噌を溶き入れて火を止める。椀によそい蕪の葉を散らす。
低カロリーで高タンパク質の食材を活用。
低カロリーで高タンパク質の鶏ムネ肉は、脂質が低く胃への負担も少ない。タンパク質は身体にとって重要な栄養素。きちんと摂取したい。ムネ肉の代わりに鶏モモ肉でもいい。粥には大根の千切りを混ぜてボリュームをアップ。水からコトコトと炊き上げているので、米も軟らかく消化は抜群。食欲のないときや、胃が疲れていると感じたときでも食べられる。腸内の善玉菌のエサになるオリゴ糖が豊富なバナナは、乳酸菌が生きているヨーグルトと合わせて腸内を活性化。便秘の解消にも役立つ。
【鶏ムネ肉と大根のお粥】
材料(1人分) 米30g、水300㎖、鶏ムネ肉30g、大根50g、大根の葉少々、塩少々
作り方 ①鍋に米と水、細切りにした鶏肉、千切りにした大根を入れ火にかける。②沸騰したら火を弱め、米が軟らかくなるまでコトコトと煮る。③塩で味を調えたら器に盛り、刻んだ大根の葉を散らす。
消化を促し、食物繊維も摂取できる。
長芋はすりおろすと消化酵素ジアスターゼの働きが活発になり、その量は大根の3倍になるともいわれる食材。食物繊維が豊富でβカロテンを含む麦飯との相性もいい。温泉卵を添えることでタンパク質も摂取できる。豆腐、かぼちゃ、里芋、人参など、具材をたっぷり入れた味噌仕立てのけんちん汁は、野菜に含まれる食物繊維が摂れ、発酵食品の味噌とともに腸の活動を助ける。具材を胡麻油で炒めているので身体に必要な油分も補える。
【麦飯とろろ】
材料(1人分) 麦飯110g、長芋60g、だし汁50㎖、醤油小匙1、温泉卵(市販)1個、浅葱少々
作り方 ①長芋は皮をむいて、すりおろしたら、だし汁、醤油を加え、なめらかになるまですり鉢であたる。②大ぶりの茶碗に麦飯を盛り、上から①をかける。温泉卵をのせ、小口切りの浅葱を散らす。
【味噌けんちん汁】
材料(1人分) 豆腐50g、かぼちゃ20g、里芋1個、 人参20g、浅葱少々、味噌10g、だし汁200㎖、胡麻油少々
作り方 ①鍋に胡麻油を入れて熱し、一口大に切ったかぼちゃと人参、茹でて4等分にした里芋を入れ炒める。豆腐を加えて崩しながら炒める。全体に火が通ったら、だし汁を加える。②ひと煮立ちしたら味噌を加え、火を止める。③椀によそい、小口切りの浅葱を散らす。
『クロワッサン』949号より
●堀 佐知子さん ブラッセリール・リールシェフ、管理栄養士/「食べ物が身体を作る」をコンセプトにメニューの開発を行う。著書に『健康と美容に役立つ! オイルの賢い使い方』など。
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