母親の病歴や体質を、娘世代は参考にしましょう。
女性ホルモン学母親の病歴や体質を、
娘世代は参考にしましょう。
私たちが体の疑問に答えます!
種部恭子さん
小川真里子さん
私もそうでしたが、
痛み止めで乗り切ってきました。
ピルを飲ませようか迷っています。
A
ぜひピルを使ってほしいと思います。現代の女性は、出産の機会が減って、生涯に起こる月経と排卵の回数が増えたために、子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんなどのリスクが上がっています。
子宮内膜症は、本来の場所ではない所で子宮内膜が増殖する病気。女性の10人に1人の割合で発症するとも言われています。さらに、卵巣に子宮内膜症の病変がある場合は将来がん化する可能性があることや月経痛を引き起こす一因になることもわかっています。
月経痛は子宮内膜症の主症状です。鎮痛剤で痛みは軽減できますが、もし子宮内膜症が潜んでいる場合はその進行を止めることはできません。ピルを使うと、月経痛も軽快し、子宮内膜症の進行も止められるのです。
ピルを使うメリットは、月経痛や経血量、病気のリスクの減少などですが、月経日を自由に変えられることもメリット。仕事や試験、スポーツの試合など、大事な場面で本来のパフォーマンスが発揮できます。
避妊だけではない、ピルの副効用
- 月経周期に付随した症状の改善効果
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・月経困難症(月経痛)の改善
・月経血量の減少による貧血の改善
・月経不順の改善
・月経の移動
・子宮内膜症の進行抑制と症状改善
- 月経周期に付随した症状の改善効果
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・にきびの改善
・関節リウマチの減少
・骨粗鬆症の予防
- 排卵を抑えることによる効用
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・機能性卵巣囊腫の減少
・子宮外妊娠の減少
- 長期服用による効用
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・子宮体がんの予防
・卵巣がんの予防
・大腸がんの減少
・良性乳房腫瘍の減少
・良性卵巣腫瘍の減少
まだです。卵子も老化すると聞いて、
不妊治療を始めるのなら
早いほうがいいかと心配しています。
A
ご心配のとおりで、女性は加齢とともに原始卵胞の数が減り、卵子の質も低下します。37歳を過ぎると急激に卵胞数が減り、治療しても妊娠しにくくなります。子宮内膜症などがある場合は、さらに妊娠しにくくなります。生理痛が強い人は、婦人科を受診しておきましょう。内膜症があることがわかっている場合、可能なら35歳までに産み終えてほしいところです。
加齢に伴う卵胞数の減少
娘が妊娠中で、妊娠高血圧と言わ
れて います。体質は遺伝しますか。
A
すべての疾患が遺伝するわけではありませんが、母親の病歴は将来の見本のようなもの。娘世代は大いに参考にすべきです。妊娠は「負荷テスト」のようなもので、妊娠中の疾病は中高年で起こる疾病のスクリーニングにもなります。妊娠中に高血圧や糖尿病になった女性は、40代以降に同様のリスクがあります。妊娠・出産時だけでなく、生涯を通じて、婦人科のかかりつけ医をもちましょう。食事や生活習慣に気をつけることで、病気をかなり予防できると思います。
若い頃から痩せています。
娘が23歳ですが、やはり痩せ形。
気をつけたほうがいいでしょうか。
A
痩せ形の人や閉経時期が早かった人は、骨粗鬆症になりやすいとされています。
また、骨量のピークは20歳ぐらいまでに決まります。若いころに食事抜きダイエットをしていた人や運動不足だった人は、最大骨量が低い可能性があるので注意を。骨密度は、年齢別の平均値でみるので、年相応であっても安心はできません。運動や食事に気をつけて、骨量を減らさないようにしましょう。
加齢による骨量の変化
いつ閉経するのか。また、
ホルモン補充療法(HRT)を始める
タイミングを教えてください。
A
閉経がいつかは予想できませんが、1年以上月経がこなければ閉経です。一般に、徐々に生理の間隔があいてきて閉経を迎える人が多いようです。
HRTとは、閉経に伴うホルモン減少をカバーするために、少しだけ女性ホルモンを補充する治療法。更年期症状の緩和だけでなく、閉経後の健康維持やQOLの維持にも有効です。そして、閉経後早期に開始するほうが、骨粗鬆症や動脈硬化の予防ができ、安全性も高いことがわかっています。また、さまざまなタイプの薬剤があり、投与方法や量も医師と相談しながら選ぶことができます。更年期治療に実績のある医師に相談しましょう。