血管を若々しく保つ方法を教えて！【健康の気になる川村エミコさんが、血管先生に聞きました】vol.3

川村エミコ（以下、川村）　血管の老化の怖さはわかったのですが、実感しにくいですよね。

池谷敏郎（以下、池谷）　そう思うでしょう？　実は、見た目の年齢と血管年齢は比例しているんですよ。血管がしなやかで、酸素や栄養を全身にくまなく届けられれば、皮膚の細胞も元気になります。すると血色もよくなりますし、肌のハリが増し、シミも減ってキメも整うんです。

川村　なるほど！　それを聞いたらなんとかしなきゃと思いますが、生活習慣の改善って、挫折しがちです。

池谷　生活習慣を改善できないのは、ことの重大性に気づいていないから。見た目に出るといっても、1週間暴飲暴食したらすぐに顔がシワシワになる……っていうわけではないし、日常的に痛みもない。生活習慣病が、気づけば重症化している「サイレントキラー」と呼ばれるのと同じようなことですね。

池谷　「血管年齢」とは、血管の老化度がどれだけ進んでいるかを表す指標です。血管の詰まり具合（ABI検査）などを測定します。さらに頸動脈エコーだと、血管壁にプラーク（コブ）がどのくらいあるかも可視化できますから、こうしたものを患者さんに積極的に見せて、自覚を促しています。

川村　血管年齢が老化すると、どのような不調が起きるんでしょうか？

池谷　血管年齢が老化しているということは動脈硬化が進んでいる可能性が高いので、血管が硬くて弾力性が失われ、血管壁にできたプラークによって、血液の流れも悪いと推測されます。冷えや肌トラブルなどの「不調」的なことから始まり、重篤なものだと脳の血管が詰まる「脳梗塞」、破れると「脳出血」や「くも膜下出血」などが。心臓だと、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなると「狭心症」、詰まってしまうと「心筋梗塞」、大動脈が裂けると「大動脈解離」、大動脈が膨らんで破裂すると「大動脈瘤」などが挙げられます。

川村　こういう病気が起こらないようにするためにも、生活習慣の改善が欠かせないのですね。

【不調の例】

冷え
動脈硬化が進むと血流が悪くなる。足の動脈硬化で生じる閉塞性動脈硬化症では、足の末端が冷え、歩行時に足が痛むなどの症状が出る。

脚がつる
閉塞性動脈硬化症のみならず、下肢静脈瘤により脚の静脈がうっ血し、血流が悪化することでも、脚がつる“こむら返り”が生じる。

肌の不調
血液が毛細血管を通って末端まで届きにくくなると、肌の透明感がなくなる、シミやシワが増える、肌が荒れる、といったトラブルが目立つ。

腰痛
腰の筋肉の血流不足が腰痛の悪化に繋がる。経験したことのない痛みが生じた際は、腹部大動脈瘤や大動脈解離の可能性があるので注意。

肩こり
急だと狭心症や心筋梗塞の予兆の場合も。経験したことのないコリや、歩くことでつらさが増す左肩〜上腕の痛みには要注意。

【病気の例】

1. 脳関係（脳卒中）
脳梗塞／脳出血／くも膜下出血

日本人の死因第4位が「脳血管疾患」。脳内の血管が詰まる「脳梗塞」、脳内の血管が破れると「脳出血」や「くも膜下出血」などがあり、これらをまとめて「脳卒中」といい、突然死や重い後遺症を招く。

2. 心臓関係
狭心症／心筋梗塞／大動脈解離／大動脈瘤

突然死の約6割が心臓病。中でも突然死を招きやすいのが、冠動脈が詰まってしまう「心筋梗塞」だ。冠動脈が狭くなる「狭心症」は一時的な症状だが、どちらも強い胸の痛みに襲われる。

川村　ズバリ、血管を若々しく保つことはできるのでしょうか？

池谷　できます！　若々しく保つための基本は、血管を老けさせる5大悪（喫煙、高血圧、脂質異常症、高血糖、肥満）を防ぐことと、運動です。ここでは、誰でも、取り組みやすい運動を教えましょう。

川村　わ、ぜひお願いします！

池谷　簡単で続けやすく、柔らかくしなやかな血管にしてくれるNO（一酸化窒素）がどんどん出て、血行もよくなる最強の血管ケアエクササイズが「ゾンビ体操」です。「ボート漕ぎ」は、背中の血流をよくし、猫背やストレートネックの改善にも効果があります。

川村　数分やっただけで体がぽかぽかして汗をかいてきました！

池谷　どこでもでき、体をリラックスさせ、リフレッシュにもぴったりです。