こんな時はどうする? 閉経前後の月経のモヤモヤを解決!──慌てず怯えず過ごしたいから、更年期の不正出血と閉経の話
イラストレーション・花松あゆみ 構成&文・薄葉亜希子
Q1 この症状、病院へ行くべき? それとも様子を見ていい?
量と頻度、体調をチェック。出血が止まらない時も注意!
「大量の出血で痛みがある場合は迷わず受診を。また、貧血症状がある時も同じです。よくめまいやふらつきを貧血と思っている人が多いのですが、それは多くの場合、起立性低血圧。動悸や息切れ、疲労感があれば貧血を疑います」と、女性のヘルスケアに力を注ぐ医師の善方裕美さん。
大量も頻発も、どちらもきちんと止まったら閉経期の月経不順が第一に考えられるが、注意したいのは止まらないこと。
「一度止まっても2〜3日後にまた出血したり、少量でも14日以上続く時はすぐ婦人科へ行きましょう。特に子宮体がんは少量の出血がダラダラと続くのが特徴です」
以下に閉経前の不正出血について整理した。では、閉経している場合は?
「例えばホルモン補充療法(HRT)の開始や久しぶりの性交、激しい運動をしたなど、原因が思い当たれば慌てることはありません。特に原因がない時は要注意。閉経後出血に多いのは萎縮性膣炎ですが、ほかの病気の可能性もあるので早めに受診して」
Q2 病院ではどんな検査をするの?
子宮や卵巣のがんの可能性も考えて検査をします
不正出血で婦人科で診察を受ける際に行われるのは主に採血、がん検査、超音波検査の3つ。
「定期の子宮がん検診では、通常子宮頸がんの検査しか行われません。ですが、診察で医師の判断があった場合は子宮体がんの検査も行います。採血では貧血と腫瘍マーカーの測定を、超音波検査では子宮や卵巣の腫れがないかなどをチェックします。放置せず早めに診てもらうことが重要。出血が止まってから病院に行ったほうがいいかとよく聞かれますが、出血中でもまったく問題ありません」
Q3 初経が早いと閉経も早いって本当?
明確な関連はなし。ただし早発閉経は治療が必要
「初経と閉経の関係性について多くの学術研究が行われていますが、専門家の間でも見解が一致していないのが現状です。また、妊娠や出産の経験との関わりも現段階ではないと考えられています」
最新の報告では、日本人女性の閉経平均年齢は52・1歳と報告されているが、気をつけたいのは早すぎる閉経だ。
「40歳未満は『早発閉経』とされ、ホルモン投与など治療が必要。動脈硬化、骨粗鬆症や脂質代謝異常などのリスクが早まる可能性があることを知っておいてください」
Q4 茶色の経血はなぜ? 放っておいていい?
膣にとどまった経血が酸化して茶色を帯びます
たまにきた月経が、あれ、茶色っぽい? ということが、更年期になるとしばしば。
「基本的に月経血は明るい赤色から少し柔らかいこげ茶を混ぜたような赤褐色です。ところが、女性ホルモンが不足すると子宮内膜が薄くなって経血量が少なくなり、膣の中でとどまるため酸化してしまう。それで茶褐色になるんですね。閉経移行期の月経は不規則ですから、色もそれに応じて変化します。特に異常や問題は何もないので、そのままで大丈夫ですよ」
Q5 最近、おりものの色やにおいが変わってきたのですが
膣の潤いと膣内フローラの変化によるもの
「おりものは体にばい菌が入らないように守ってくれるもの。エストロゲンが減ると膣壁が萎縮して潤いが少なくなりおりものが減少。色も少し濃いクリーム色が多くなります」
また膣内にはデーデルライン桿菌という乳酸菌の一種が存在する。
「閉経によってこの常在菌が減ってくるとにおいにも影響が。もし気になって仕方がない場合は膣内フローラを整えるようなクリームもあり、クリニックで処方してくれます」
Q6 不正出血を起こしやすいタイプは? 若い時の病歴は関係する?
ホルモンの変化が原因。体質とは関係なし
「閉経期の不正出血はホルモンの変化によるので、特に体質や体格などに影響はされません。ただし、子宮筋腫や子宮内膜症がある場合、閉経期の不正出血が起こりやすくなります」
特に筋腫の位置が子宮内膜に接している『粘膜下筋腫』の場合は不正出血の量が多くなることがある。
「これもあらかじめ知っておけば、不安がやわらぎます。気になることは気兼ねなく婦人科で相談しましょう」
『クロワッサン』1152号より
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