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「あれ? 聞こえにくいかも……」は、実は40代から始まっている? 聴力の衰えが影響している意外な病気と対策

最近、テレビの音を少し大きくした。家族に「え?」と聞き返すことが増えた。部下に話しかけられた時、言葉が聞き取れず、思わず笑ってごまかしてしまった――。そんなことはありませんでしたか?

文・古澤恭子

「あれ? 聞こえにくいかも……」は、実は40代から始まっている? 聴力の衰えが影響している意外な病気と対策

自分の聴力について、普段の生活で意識することはありますか? 実は“聞こえ”の衰えは、意外にも40代から始まる人も多く、50代になると少しずつ自覚症状が増えてくるといわれています。本人は気づいていなくても、周囲が「最近耳が遠くなったのかも」と感じていることもあるのだとか。耳は目と違って、不自由さを自覚するのが遅いぶん、対策が遅れがちです。

世界を見回しても日本人だけ? 補聴器を使いたがらない国民性

難聴者の割合を比べると、日本も欧米諸国も10%と大差ありません。けれど驚くのは、補聴器の使用率の違い。日本が15%にとどまる一方、イギリス、フランス、ドイツ、スイスでは難聴者の4割以上と報告されています。

日本における使用率は、と言えばわずか15%程度。難聴者の補聴器使用率が欧米諸国に比べ圧倒的に低いのです。(※1)

※1:「“Source: Anovum – JapanTrak 2022”」
各国の難聴者率(自己申告)を表すグラフ
各国の難聴者率(自己申告)を表すグラフ

 

各国の補聴器使用率を表すグラフ
各国の補聴器使用率を表すグラフ

これは、なぜなのでしょうか。

「老人に見えるのが嫌」「周囲に知られたくない」といった心理的なハードルが、いまだに根強く残っているのです。けれど、若い世代の補聴器に対する印象はむしろ真逆。「補聴器はコミュニケーションツール。それをつけるシニアはかっこいい!」というポジティブな意見が、なんと約93%を占めています。(※2)

※2:「難聴を感じているシニア500名と若者500名に聞いた『補聴器をつけることに対する意識』アンケート調査レポート 2025年」(GNヒアリングジャパン)

ワイヤレスイヤホンなどを日常的に身につける“ガジェット世代”も増え、こうしたツールを使うのは今やごく普通のこと。さらに最近の補聴器は、アクセサリー感覚で楽しめるデザインも豊富で、自分らしさをさりげなく表現できるアイテムへと進化しています。

“聞こえ”が変わると、生活が変わる

「補聴器を使用することで、患者さんの生活の質が大幅に向上する」と語るのは、東京みみ・はな・のどサージクリニック名誉院長で耳鼻咽喉科医師の市村恵一さん。「きく」には、ことばや生活音などを聞き流す-“聞く”(hear)と、興味のある、あるいは理解したいと思う情報を“聴き取る”-“聴く”(listen)があります。正常聴力だと、両者の切り替えを脳がスムーズに行ないます。しかし、難聴では、hearだと難しい場合はlistenに切り替わり、それでも聴き取りにくいことがあります。「補聴器を使うとその切り替えがしやすくなり、“自然なきこえ”に近づく。すると会話への自信が戻り、内容の理解が深まり、結果的に人との会話や外出の機会が増えていきます」

実際、補聴器を使い始めた人の中には『人と話すのが苦痛じゃなくなった』『職場での部下の声が聞き取りやすくなった』『テレビの音量問題が解決されて夫婦間の喧嘩がなくなった』『人との会話が弾む』といった実感の声が寄せられるそうです。コミュニケーションがスムーズになることで、人間関係も自然と改善されていきます。補聴器は、単なる聴力の補助を超え、暮らしそのものを豊かにしてくれる存在なのです。

「あれ? 聞こえにくいかも……」は、実は40代から始まっている? 聴力の衰えが影響している意外な病気と対策

実は認知症の原因にも……!? 放っておけない“聞こえ”の問題

最近の研究で、聞こえにくさは「うつ症状」や「認知症リスク」と深く関係していることが明らかになっています。“聞こえ”が悪くなると会話が減り、外出も億劫に。その結果、社会的孤立から心身の不調へとつながってしまうのです。実際、難聴を放置すると、うつ病は30%、認知症は40%、転倒は20%と、それぞれのリスクが上昇すると報告されています。(※3)

※3:2017年WHO検討会より

さらに、認知症と聞こえの相関関係について驚きの報告が。認知症の原因となる項目のうち、予防できるものとして最大の要因が“難聴”なのだという。つまり、補聴器で難聴を改善することは、認知症予防への大きな一歩となるのです。「耳が聞こえることは、脳を活性化させる刺激のひとつ。「聞こえ」を守ることは将来の健康への投資です」と、市村医師も警鐘を鳴らしています。

今こそ“聞こえ”と向き合ってみませんか?

「まだ大丈夫」「自分には関係ない」と思い込まず、少し立ち止まって“耳の声”に耳を澄ませてみませんか。多くの人は自分の難聴に気づかず、家族に促されて初めて耳鼻咽喉科を受診することが少なくありません。自分が難聴だという意識のきっかけを作ることも補聴外来の役割です。市村医師も「本人が“聞こえ”に困ったと感じた時が補聴器装用のタイミングです」と強調します。

人生100年時代。これからも仕事や趣味を楽しみ、日々をいきいきと過ごすために――スキンケアのように、聞こえもエイジングケアの一つとして前向きにとらえてみてはいかがでしょうか。「ちょっと試してみようかな」――その小さな一歩が、これからの毎日をもっと軽やかにしてくれるかもしれません。

補聴器を選ぶなら、自分に合ったお気に入りを

「あれ? 聞こえにくいかも……」は、実は40代から始まっている? 聴力の衰えが影響している意外な病気と対策

騒がしい場所でも“聞きたい音”をしっかり届けてくれる、デンマーク生まれの補聴器「リサウンド・ビビア」は、世界最小クラス(※4)でAIを搭載した最新エイジングツール。そのサイズ感から、極端に髪の短い人以外は着けていることがわからないほど。

※4:RIE,2025年2月時点

北欧らしいシンプルでミニマムなデザインがおしゃれ。まるでお気に入りのアクセサリーやコスメを選ぶように、“聞こえ”も自分らしくアップデートできます。

  • 市村恵一 さん (いちむら・けいいち)

    東京みみ・はな・のどサージクリニック名誉院長、自治医科大学名誉教授、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、補聴器相談医、補聴器適合判定医、医学博士。

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