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【認知症は予防できる】脳の老化を補う「会話」とは?

誰もが「なりたくない!」と望む認知症の予防には、「会話」に意識を向けること。最新の研究成果を反映した、具体的な活用法を工学博士の大武美保子さんが解説。

イラストレーション・佐々木一澄 構成&文・板倉みきこ

人生100年時代の今、見過ごせないのが認知症有病率。厚生労働省の研究によれば、85歳以上の6割近くが認知症になっている、というデータがある。一方で、40代後半から体も脳も老化傾向に進むのは、避けられない現実だ。

認知症にかかっている人の割合(年齢別)

出典:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より算出
出典:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より算出

「とはいえ、視力や聴力など機能低下を止められないものはありますが、理解力や創造力など、活用すれば向上する機能もあるのです。そこで、脳が老化しても認知機能を保てるよう、伸び代のある機能を活用して向上させ、衰えた分を補えばいいのです。そうすれば脳全体が錆びつくことはなく、認知症のリスクを下げ、自立した生活を楽しむ期間を延ばすことも可能になるでしょう」(工学博士・大武美保子さん)

脳の老化を遅らせるには、栄養バランスのとれた食事、質の高い睡眠、適度な運動はマスト。加えて、大武さんの研究により注目を集めているのが、認知機能を向上させる「会話」だ。

「必要なのは、論理的に『考える力』と、様々な感情を『感じる力』。頭の使い方を変えれば、この両方を兼ね備えた会話が身につき、認知機能の低下を効果的に防げます。誰でも、いつでもできる認知症の予防法です」

【認知症は予防できる】脳の老化を補う「会話」とは?

頭の使い方、会話を変えれば、認知機能を維持できる!

【認知症は予防できる】脳の老化を補う「会話」とは?

認知機能の維持・向上には、話す、聞く、考える、感情表現、自分と相手の感情を読み取る、記憶するなどの能力を駆使した会話が必要。大武さんが開発した会話支援ロボット「ぼのちゃん」(左)は、認知機能を高める会話をサポートしてくれる。

  • 大武美保子

    大武美保子 さん (おおたけ・みほこ)

    工学博士

    理化学研究所革新知能統合研究センター所属。認知行動支援技術チームリーダー。会話支援ロボット「ぼのちゃん」を開発。実践研究を行う。

『クロワッサン』1127号より

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