全身の病気を引き起こす、口腔内の健康について考える【お口の健康がわかる3つのトピックス】
撮影・小川朋央 イラストレーション・松栄舞子 構成&文・堀越和幸
1. アラフォー世代は歯周病が危ない
口の中の二大トラブルといえば虫歯と歯周病。この2つの違いをはっきり説明できるだろうか?
「虫歯菌は糖質を好み好気性(空気のあるところが好き)のため、歯ぐきより上の部分の歯を酸で溶かします」(亀井孝一朗さん)
一方の歯周病菌は血液などのタンパク質を餌にして嫌気性(空気を嫌がる)のため、歯と歯ぐきの隙間の歯肉溝に棲みつき骨を溶かす。そして亀井さんによればアラフォー世代が気をつけるべきはーー。
「圧倒的に歯周病です。ストレスや食生活の乱れ、基礎代謝の低下など理由は複合的ですが、30代後半になれば3分の2がかかっているという国のデータもあります」
2. ギネスにも認定された最大の感染症
歯周病は実は感染症であることを知らない人は意外に多い。
「しかもギネスブックにも認定された人類史上最も多い感染症です」
基本的には口対口経路の感染リスクが高い。すなわちキスがそう。
「それだけではありません、お母さんから幼児への口移し、他人の箸を使う、というのも要注意です」
一度定着してしまうと根絶することが難しく、いかに菌の数を減らすかということが鍵になるから、「唾液感染を減らすためにも、口内を清潔にすることが大切です」
3. お口の中の細菌数はウンチと同じ!?
腸内細菌という言葉は近頃よく耳にする言葉だが、口の中にも同じように細菌叢(さいきんそう)が存在する。
「善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種の細菌が存在するのも腸と同じで、その数はウンチと同じくらいあるといわれています」
ちなみに歯をよく磨く人では約1000億個〜2000億個の数が、全く磨かない人になると1兆個以上、口の中で直腸レベルにまで大繁殖してしまうのだそう。
「細菌叢のバランスを崩せばさまざまな体の不調につながります。最近は口内環境が腸内環境に影響するともいわれますので要注意です」
『クロワッサン』1127号より
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