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費用は?リハビリ期間は?人工股関節手術の最新情報

最近よく聞く人工股関節置換術。ちょっと怖い気もするけれど、本当にスタスタ歩けるようになるの?

イラストレーション・松栄舞子 文・中嶋茉莉花

人工股関節を知るための7つのこと。

1. 長く入院したり車椅子の生活が続きますか?

短いと1~2週間で退院、普通に歩けるように

「前日入院で、早い所は、1週間前後で退院できます。当院では、手術翌日から歩くリハビリと傷の腫れ、むくみをひかせるリハビリを開始。階段の上り下りや散歩ができるくらい歩行が安定したら術後4~6日を目安に退院という流れ。車椅子も使いません。個人差はありますが、約1カ月間、一本杖をついてもらいます。リハビリにはあまり通う必要はありません」

2. 耐用年数が心配です

以前より耐久性がアップ、入れ替えの必要性は低く

「以前は、ヘッドやライナーの緩みが徐々に進んだため、人工股関節の耐久年数は20年程度でした。それで手術をするなら60歳以降が望ましいとされていたんです。けれども現在は耐久性が格段に向上。再置換手術の必要性が低くなりました。再手術の必要が生じても、低侵襲での手術が可能です。リハビリなどで改善しない強い痛みがあれば30代、40代で手術を受ける方も」

3. リハビリは痛いですか?

傷や腫れの痛みを多少感じるかもしれません

「骨を削る手術ですから、数日は腫れるでしょう。リハビリは術後数日以内に始まります。そのため、歩く訓練、体操などをする際に、痛みを自覚することはあると思います。とはいえ、鎮痛剤を内服すれば和らぐ程度です。リハビリ自体は、萎縮していた股関節周辺の筋肉本来の力を取り戻す目的で行うもの。ゆっくり行うので痛みはほとんどありません」

4. 手術にはどんなリスクがありますか?

まれに脱臼や感染症がありますが、リスクは劇的に減少傾向

「インプラントの性能、手術の低侵襲化が発達し、今やリスクは少なめです。とはいえまれに脱臼、骨折、感染症などの合併症が発生します。ただし、筋肉を切らない手術・手技だと、脱臼率は低下。執刀医の技術で骨折の回避も可能です。感染症リスクも、その他の一般的な外科的手術と同等。既往歴やアレルギーがあれば、漏れなく伝えるようにしましょう」

5. 平均的な費用は?

保険適用+高額療養費制度で10万〜15万円程度

「個室利用時の差額ベッド代などを除き、保険適用です。保険の種類や年齢などによって一部異なりますが、総額は30万円台~90万円台。これに高額療養費制度を利用し、事前に交付された限度額適用認定証(70歳未満の場合。70〜74歳の方は高齢受給者証)を提示すれば、窓口での支払いは10万〜15万円程度になります。入院日数が長ければ、もう少しかかるケースも」

6. 手術前、慎重な準備が必要な人は?

重篤な糖尿病、心臓病の人は主治医と相談しましょう

「重篤な内科的疾患を抱えていて全身状態が悪い場合は避けるべき。糖尿病の人は感染症リスクが高いことから事前の血糖コントロールが必要です。喫煙者は全身麻酔で呼吸器合併症や静脈血栓症を起こす恐れがあるので、禁煙をしてから手術を受けることを推奨しています。反対に健康状態が良好なら90代でも手術可能、骨粗鬆症でも専用のインプラントを使用すればOK」

7. 人工股関節ではできない、してはいけないことは?

手術から3カ月を過ぎれば、基本的には運動制限はなし

「術後3カ月は、過度な運動を避けて生活するほうが安全です。でもその先は、当院ではおおむね、やっていけないことはないとお伝えしています。マラソンや、バレーボールなどジャンプを伴う運動だけは、人工股関節の摩耗を促し、何十年後かに部分交換が必要となる可能性も。病院や医師、また回復状況によって見解は異なりますので、術前に説明を聞き、納得した上で手術を」

  • 三浦陽子

    三浦陽子 さん (みうら・ようこ)

    「船橋整形外科病院」人工関節センター長

    股関節外科・人工股関節・人工膝関節専門医として、多くの症例を執刀。人工股関節置換術では仰臥位前方アプローチ(D
    AA)を採用。

『クロワッサン』1135号より

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