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曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”

「生涯現役」をごく自然に全うする長野県大桑村の皆さん。その秘密は温かく支え合うコミュニティと、股関節を鍛えるご当地体操にありました。

撮影・小川朋央 文・松本あかね

「従来、県民は健康に対する高い意識を持っていました。食塩摂取量が多く、脳血管疾患の死亡率が高いことは長年の課題。そこで、『予防に勝る治療はなし』と、県や市町村、医療機関をはじめ様々な関係者が連携し、県民も協力して予防活動を積極的に行ってきました」

 「健康長寿」日本一は県を挙げての意識変革の成果

長野県の健康寿命の平均は男性81.0歳、女性84.9歳(令和4年値)で全国1位。高齢者の就業率の高さや野菜摂取量の多さ(20歳以上の男女の野菜摂取量が全国1位※厚労省 平成28年「国民健康・栄養調査」より)などが要因として考えられる。

今年で11年目を迎える「信州ACEプロジェクト」ではA(Action、体を動かす)、C(Check、健診を受ける)、E(Eat、健康に食べる)の3つを柱に置き、生活習慣病、認知症の予防を目指す。

〈都道府県別・健康寿命上位3団体〉
(介護保険の要介護度2未満を健康状態として、その平均値をもとに算出)

資料:長野県健康福祉部プレスリリース(国民健康保険中央会HPより転載)
資料:長野県健康福祉部プレスリリース(国民健康保険中央会HPより転載)
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
「信州ACEプロジェクト」では県のキャラクター・アルクマと行うストレッチをYou Tubeで配信。日常的な身体活動を提唱する『ずくだすガイド』の刊行も。
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”

健康寿命世界一を目指す健康づくり県民運動『信州ACE(エース)プロジェクト』では「Action(体を動かす)」が3つの重点項目のひとつに掲げられている。

身体活動のガイドラインを示した『ずくだすガイド』では、日常的に取り組みやすい身体活動として、家事など身の回りのことから農作業や雪下ろし、山の散策など県民になじみ深いものを挙げ、まめに体を動かすことを推奨する。

「『ずく』はやる気やこまめに動く精神を表す方言です。車社会で、近所へ行くにも車やバイクに乗ってしまう土地柄。足腰の筋肉が落ちると腰や膝の大きな関節に負担がかかります。ロコモティブシンドローム(身体の生活機能低下)を防ぐためにも、ちょっと“ずく”出して、歩くことを手始めに全身運動としての体操も取り入れてほしい」

『木曽の大桑ほこっと体操』が高い評価を得たのは、次の3つの基準を満たしていたためだ。

1つ目は地域における定着度・普及度。2つ目はなじみやすく、気軽に行うことができる体操の内容になっているかどうか。3つ目は実際にこの体操を行った結果、どんな効果が期待できたか。

3の効果については興味深い結果がある。運動教室に6カ月間参加し、体操を行った平均年齢71・7歳の男女の体力を測定したところ、長座体前屈(脚を伸ばして座った姿勢で腰から前屈する)、片足立ち、椅子に座って立つ回数(30秒間)などの数値が著しく改善したという。

体操を考案した東海学園大学スポーツ健康科学部教授の丸山裕司さんはこう分析する。

曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”

「ほこっと体操には膝を上げる、脚を後ろに伸ばす動きを取り入れていますが、これには股関節の『屈曲』『伸展』という動きが関わっています。膝を上げるときは腿の筋肉ではなく、股関節とつながった筋肉を使って行うのです。体の柔軟性が高まり、立つ、立ち上がるといった動きの数値がよくなったのは、体操によって股関節が柔らかくなったためでしょう」

〈ほこっと運動教室(6カ月間)参加者の体力変化(抜粋・平均値)〉
(人数13名/平均年齢71.7歳)

股関節を上下・前後・左右に動かす体操によって、数値に飛躍的な変化が表れている。「股関節の滑らかさや可動域の広さは、日常生活の円滑さに直結します」(丸山さん)
股関節を上下・前後・左右に動かす体操によって、数値に飛躍的な変化が表れている。「股関節の滑らかさや可動域の広さは、日常生活の円滑さに直結します」(丸山さん)

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