頭と体の健康のための歩き方を、関根麻里さんが脳内科医に教わりました。
撮影・森山祐子 ヘア&メイク・上野由可里 スタイリング・繁田美千穂 イラストレーション・ヤマグチカヨ 文・辻さゆり
関根麻里さん(以下、関根) 先生は普段はどのような診療を行っていらっしゃるのですか?
加藤俊徳さん(以下、加藤) 全国から申し込まれてくるMRI脳画像診断をしています。子どもから老人まで1万人以上の脳を見てきたので、今では画像を見ただけで、その人が普段どんな生活をしているか、性格までわかるんですよ。
関根 脳画像だけで、そこまでわかるんですね!
加藤 自分の体験からウォーキングに注目し、その効果を脳画像ではっきりと確認できてからは、患者さんにも暮らしの中でウォーキングを取り入れてもらうようにしました。すると歩くだけなのに、さまざまな症状が改善したんです。
脳番地を活性化させるアレンジ・ウォーキング。
関根 歩くことと脳ってどんな関係があるのですか?
加藤 人間の脳は場所によって8つの役割に分けられていて、僕はこれを「脳番地」と名付けています。
赤ちゃんは頭のてっぺんにある「運動系」の脳(運動脳)や感情系脳番地の血流が多い状態で生まれますが、この時期は、まだ各番地へのネットワークは発達していません。
けれども年齢を重ねていくと、運動脳から「視覚系」や「記憶系」「理解系」など、他の脳番地へ血流増加のエリアが広がっていき、脳全体が使われるようになります。これが脳の成長です。
ウォーキングは手足を動かすことによって運動脳にスイッチを入れ、つながっている他の脳番地のネットワークを太くして活性化できる、とても簡単で効果的な方法なんです。
歩けば脳が鍛えられる!
関根 一日に必要なウォーキング量ってどのくらいなんですか?
加藤 僕は患者さんに、トータルで1時間と伝えています。約3キロから4キロメートルですね。
関根 歩数でいえば、どのくらい?
加藤 最低、5000歩は必要ですね。
関根 あ、そのくらいでいいんですね。よく10000歩って言われますよね。犬を飼っていた時は余裕で歩けていたけれど、今は意識していてもなかなかそこまでいきませんね。
加藤 僕は一日3キロは歩くようにしていて、4キロ以上歩いた日は「運動貯金」ができたと思うようにしています。
2キロくらいしか歩けなかった日が続くと、その貯金が減ってきて、気づいた時にはさまざまな不調が表れてきます。僕はこれを「運動負債」と呼んでいます。単に運動不足なのに、イライラするとか、怒りっぽくなるといったほかの症状が出てくるんです。
1日に必要なウォーキング量
1日に必要なウォーキング量は、それぞれの人のライフスタイルによっても変わる。以下の表を参考にして、自分に合った運動量で無理のない範囲で習慣化したい。