酢・味噌・醤油。麹を使った日本の三大調味料の効能。
醤油と味噌は大豆を使った塩味の兄弟調味料です。
発酵の名門、東京農業大学の専門家に教わりました。
撮影◦黒川ひろみ 文◦韮澤恵理
大豆を麹で発酵させる、味噌と醤油は健康食品。
味噌は蒸した大豆に麹と塩を加えて発酵、熟成した調味料で、大豆のたんぱく質がアミノ酸に分解されることで、香りとうまみが生まれます。大豆の量が多く、熟成期間が長いほど濃い色になり、大豆に対して麹の量が多いと甘く、塩分が多ければ辛くなります。
味噌のたんぱく質は発酵でアミノ酸やペプチドに分解されているので、消化がよく、大豆ペプチドは血圧の上昇を抑えてくれます。
大豆イソフラボンや、濃い色の味噌に多いメラノイジンには抗酸化効果もあります。味噌が再注目されているのはこのためです。
醤油は、味噌を造っている桶の中にたまった汁が、やがてうまみや香りの凝縮した調味料へと進化したもので、いわば味噌の兄弟。
醤油に含まれる麹や酵母などは出荷前の加熱処理で失われますが、生醤油は加熱していないので、発酵の強みが生きています。
ただし、味噌も醤油も塩分が多いので、体にいい発酵食品とはいえ、適量を守ってください。
【味噌の種類と特徴】
米味噌赤色辛口
大さじ1⇒18gで塩分2.3g
米麹を使って長期熟成して作る赤みのある味噌。塩分が多めで辛口だが、うまみが強く、香りが強い。仙台味噌が代表的。
米味噌淡色辛口
大さじ1⇒18gで塩分2.2g
最も一般的な味噌。山吹色に近い明るい色で塩分は多いが親しみやすい味。信州味噌が代表だが、全国的に造られている。
米味噌甘口(白味噌)
大さじ1⇒18gで塩分1.1g
大豆に対して米麹の割合が多く、短期で熟成させた色の薄い味噌。塩分が少なく甘みが強い。魚を漬けたり、椀物に。京都の西京味噌が代表。
豆味噌(赤味噌)
大さじ1⇒18gで塩分2.0g
大豆に直接麹菌を混ぜて発酵させる。長期熟成し、赤褐色で、強いうまみとかすかな渋み、苦み、酸味がある。八丁味噌や名古屋味噌が代表。
麦味噌甘口
大さじ1⇒18gで塩分1.9g
米麹のかわりに麦麹で造る九州、四国、中国地方に伝わる味噌。麹の割合が多く、短期熟成の甘口が多い。麦の粒の中央に黒っぽい筋がある。
【手前味噌の話】
近年まで味噌は各家庭で仕込んだもの。大豆のつぶし方、塩分、麹の配合量などは家ごとに違い、我が家の味噌の味が一番と自慢したことから「自画自賛」することを手前味噌というようになったそう。
【味噌のつくり方】
【醤油の種類と特徴】
濃口醤油
大さじ1⇒18gで塩分2.6g
最も一般的な醤油。大豆と小麦はほぼ同量で仕込まれ、香り高く味もいい。肉や魚の生臭さを消し、香ばしい香りをつける。
薄口醤油
大さじ1⇒18gで塩分2.9g
料理の色や香りを引き立てると関西で発達した醤油で、麦の焙煎が浅く、丸大豆を使うなどで色を薄く仕上げている。その分塩気が強い。
白醤油
大さじ1⇒18gで塩分2.6g
江戸末期に愛知県で生まれた新しいしょうゆ。原料は小麦中心で大豆は少量。色が薄く、発酵も控えめでうまみやコクより甘みと塩分が特色。
再仕込み醤油
大さじ1⇒18gで塩分2.2g
搾った生醤油を加熱せずに酵素や酵母が生きている状態で再び醤油麹に加えて仕込んだ醤油。材料も時間も倍かかるが、色もうまみも濃い。
たまり醤油
大さじ1⇒18gで塩分2.3g
東海地方に昔から伝わる醤油で、豆味噌のたまり汁に近い。ほぼ大豆のみで作られる。香りは控えめだがとろりとして色も味も濃厚。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
【醤油選びのコツ】
醤油は酸化の早い食品なので、色で見分けるのがポイント。一般的な濃口醤油の場合、赤に近い褐色で透明度の高いものが新鮮。また、濃口より薄口のほうが塩分が多く、醤油の塩分は色の濃さと反比例と覚えて。
【醤油のつくり方】
『Dr.クロワッサン 免疫力アップの決め手、腸内環境を強くする』(2020年7月30日発行)より。
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